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06 Nov 2012 12:05:45 pm |
国際資源パネル |
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国連環境計画(UNEP)国際資源パネル(IRP)の第11回定例会議が東京で開催
今日、2012年11月6日から10日までの日程で、国連環境計画(UNEP)国際資源パネル(IRP)の第11回定例会議が東京で開かれる。
当ブログの基となっている「ファクター5」の著者であるエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー博士(Dr. Ernst von Weizsaecker)はこの会議の共同議長である。この会議については余り報道もされないと思うので、紹介しておく。
この会議は2007年に設置されその目的は、独立性、一貫性を保ちながら、資源の持続可能な活用、ならびに資源活用のすべてのライフサイクルにおける環境負荷について、権威ある科学的評価を与える事を目的としている。
国際資源パネルは、最新の科学的データを提供する事で、人々に対し天然資源利用=環境負荷と経済成長の切り離し「デカップリング」に対しての理解を深める事に貢献しようとしている。
国際資源パネルが提供する情報は、政治的実現可能性と政策立案の為の基礎資料として役立てることと、それらの計画実施に当ってのモニタリングと評価を行う為のデータとなることで、政策実行を援助するものである。
ここで言うデカップリングとは、ある一定の経済産出量を作り出すのに必要とする資源の利用を減らし、さらにそれにともなう経済活動の為に発生する全ての環境負荷をできるだけ低く抑えることを言っている。
図は、資源と環境影響(負荷)と経済活動ひいては幸福度がどのようにデカップリングされて行くべきかを表したものである。
国際資源パネルのURL:
http://www.unep.org/resourcepanel/Home/tabid/106603/Default.aspx
デカップリングのURL:
http://www.unep.org/resourcepanel/Portals/24102/Decoupling%20summary%20(Japanese).pdf
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04 Nov 2012 07:31:51 pm |
人類は大きな生命の一部 |
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トランプのカードハウスに住む人類
持続性学 自然と文明の未来バランス(明石書店 林良嗣他編)と言う本の中のHans-Peter Dürr博士(ドイツ・マックスプランク研究所名誉理事長、ミュンヘン大学名誉教授)の講演の中から、かいつまんで紹介する。
私たちは人類の将来をデザインできるのか、ということですが、もっと環境を考えた形で将来を設計しなければいけないと思います。(略)人類は生命体の一部であることを考えなければいけません。(略)自然は私たちがいなくても存続しますが、私たちは自然なくしては存続できません。(略)
毎日エネルギーを送ってくれるのが、太陽です。私たちが使える唯一の資源です。(略)
バイオシステムは、地球上に住んでいる動植物を指すシステムです。私たちは機械に慣れていますので、バイオシステムを複雑な機械だと思いがちですがそれは違います。(略)この不安定なシステムは、恒常性(ホメオスタシス)がバランスを取っています。恒常性を保つには、エネルギーが必要です。(略)太陽エネルギーが不可欠です。(略)
Dürr博士は、私たちが住むバイオシステムをトランプのカードで作ったカードハウスに例えて、そのカードハウスの最上階で人類は地球に君臨していると錯覚しているのだ、としている。そしてこのカードハウスを安定させているのが太陽エネルギ―から得られる生命活動であるとしており、重要な事は、私たちは、大きな生命体のごく一部でしかないと言う哲学を持つことだとしている。
持続可能性と言う言葉は、一定の状態を保持する静的なもののような感じを受けるが、そうではなく動的な生命活動を維持すると言うものであると論じている。
そして、人類以外の全てのバイオシステムは太陽エネルギーだけで動いているのに、人類だけが、産業革命以来の200年間に地下から化石燃料を掘り出して使う別のエネルギーシステムを作ってしまったところに問題が有るとしている。
Dürr博士は化石燃料を使う経済を、他人の財産を使う銀行強盗経済であると語り、この化石燃料に依存した経済システムが地球環境のバランスを壊していると指摘している。
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01 Nov 2012 07:40:59 am |
日本語版「ファクター5」 |
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持続可能社会へのシナリオ、グリーン経済革命の教科書、待望の日本語版
2012年10月31日、当ブログの基本となっているドイツの環境学者、エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー教授の著した「ファクター5」の日本語版が、株式会社 明石書店(東京都千代田区外神田6-9-5、石井昭男社長)から出版される事に決定した。
当著作の原著は2009年にエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー(Ernst von Weitzsäcker)、カールソン・ハーグローブ(Karlson Hargroves)、マイケル・スミス(Michael Smith)の3氏の共著で、英国の出版社Tailor & Francis社から出版された。副題は「持続的発展の為の方程式」と題され、資源を5倍に活用する事で持続可能な社会が作れると言う意味で「ファクター5」と名前が付けられた。1995年にエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー教授がエイモリ―・B・ロビンス、L・ハンター・ロビンス夫妻と共に著した「ファクター4」の続編となった著作である。「ファクター4」は副題が「半分の資源で、2倍の豊かさを」とされ「新しいローマクラブへの報告書」となっていた。
「ファクター5」は2010年3月11日奇しくも東北大地震の1年前にドイツ語版がDroemer社から、内容の一部が著者により改定された上でリニューワル出版された。同年暮れには中国語版が「5倍級」として、2012年6月にはブラジルでポルトガル語版が出版され、2012年10月現在、ロシア語版が出版準備中であり、いずれもドイツ語版からの翻訳となっている。
日本語版出版は2012年3月に著者から日本語版を出そうとの申し入れがあり、当ブログの管理人他、4名が日本語訳を進めている。監修と日本向けの章の執筆を名古屋大学環境学研究科の林良嗣教授にお願いしている。
出版など手掛けた事の無い経験で、出版してくれる出版社を8ヶ月掛けて探し、5社目でやっと明石書店に辿りつく事が出来た。出版不況の中、この度決定してくれた明石書店の皆様に心から敬意を表するものである。一里塚を越えた思いであるが、これからがいよいよ翻訳グループの力の見せ所と緊張がみなぎっている。
日本復興のシナリオとなる本としたいとの決意で一同決意を新たにしている。出版は2013年4月頃を目標にしているので、皆様の御期待と暖かい応援をお願いしたい。
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30 Oct 2012 10:24:30 am |
新化石燃料はいらない |
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シェールガス・オイルやメタンハイドレートは化石燃料だと言う事を忘れないでほしい。
昨日もTVでシェールガス、シェールオイルやメタンハイドレートを「エネルギー・ビッグバン」だ等と囃したてているのを見た。ファクターファイブの主張はもうこれ以上化石燃料を使うのは止めようと言っている。人類の英知を使えば無尽蔵に降り注いでいる太陽のエネルギーだけで豊かな生活ができるのだと提案している。
地球は46億年前に生まれ、40億年前には初めての生命体を宿している。しかし、その頃の地球は生命が進化するには厳しすぎる条件であった。27億年前に光合成生物が出現し少しずつ大気に酸素が増加してきた。この頃、地磁気が出現しその為に太陽風などの生命にとって有害な宇宙線を地磁気が避けてくれるようになった。光合成で増えて来た酸素はオゾン層を作り、地球に降り注いでいた紫外線も弱めた。10億年前には多細胞生物が出現した。7億年前に氷期が訪れ大量のCO2が氷に取り込まれて地底に沈んだ。四億八千年前に我々の祖先となる初めての脊椎動物、魚類が誕生した。その後、5回の生物の大絶滅期を経たが、その都度多くの動植物が地中深く埋もれ大量のCO2が地下に埋蔵された。それが、石炭、石油、天然ガス、シェールガス、シェールオイル、メタンハイドレートなどの炭素鉱物である。
そして、やっと700万年前に直立二本足歩行をする人類が誕生した。20万年前にはホモサピエンスと進化した。我々の存在は地球がCO2を地底に葬ってくれたからこそ有るのだと思う。その地下に葬ってあった炭素鉱物を燃料資源として人類は200年前から掘り始めたのだ。そして、大気中に過去数万年間変化の無かったCO2濃度を上げ始めた。これが地球温暖化のメカニズムなのだ。人類が歴史を記録しはじめて数万年の間、化石燃料に手を付ける事は無かった。それでも人類は、素晴らしい文化や芸術を創造し豊かな世界を作って来ていた。200年前の産業革命以来、人類は化石燃料と言う人力に変わるエネルギー源を使い始め、それが限り無い化石燃料の消費をする世界を作って来た。
人類の英知を結集すれば、現存の技術を使うだけで、今使っているエネルギーを5倍に活用する事ができる。そして必要な20%のエネルギーは再生可能年ルギ―で十分に補う事ができる。それが持続可能社会で、世界はそれを目指そうとしている。それなのに新たな化石燃料を希求する姿は、僕には奇異に見える。
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29 Oct 2012 02:50:07 pm |
ゴミ焼却場発電 |
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日本ではまだ利用が少ないゴミ焼却熱による発電
ゴミ焼却場について調べて見た。日本全国にはなんと約1900ものゴミ焼却場が存在する。この数は他の国と較べて見ると異常に多い事に気が付いた。ドイツ(人口8200万人)で154基(154)、フランス(6300万人)134基(112)、英国(6200万人)55基(20)、イタリア(6000万人)50基(47)、韓国(4800万人)30基(30)なのだ。つまり日本のゴミ焼却場は規模が小さいのである。
その上もっと驚く事が分かった。それはゴミ焼却場の排熱で発電をしている数である。日本では215基で全体の11%しか発電をしていない。上に書いた欧州の代表的な国々のカッコ内の数字は発電をしている数で、お隣の韓国では100%ゴミ焼却場の排熱で発電をしているのに、日本では約1割程度しかしていない。それは、従来ゴミ焼却場で発電された電力が電力会社から「不安定である」を理由に5円〜10円と言う安い価格でしか買い取って貰えなかったので、ゴミ焼却場運営主体の自治体が興味を失っていたからであろう。発電をする事を前提にして居ないので、規模が小さくなっている理由でもある。
2012年7月から始まった電力固定買い取り制度(FIT)ではゴミからの電力は17.85円で20年間にわたって買い取ってもらえるので、これからゴミ焼却場をリニューワルや新設する自治体は導入する事が予想される。
日本のこれまでのゴミ焼却場での発電は総熱量の10%しか発電されていない大変効率の悪い設備である。年間3552万トンのゴミが焼却されており、その内2254万トンのゴミの焼却分で発電をしているが、これは6900GWH/年の発電量である。これを、最新の技術を使い一旦バイオガスに変えてからガスタービンで発電すると、効率が良くなるので、同じ量のゴミを焼却した熱で発電すると13,8000GWH/年の発電量となる。もし、全部のゴミを同じ効率で発電に使うと3552万トンのゴミから21,800GWH/年の発電ができ、これは原発3基分の発電量である。
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