ダンテの森    
19 Dec 2012   08:00:38 am
ドイツからは今日が最後
20年前に日本で始まった省エネ運動はドイツに引き継がれていた

 あっという間の10年振りのドイツ旅行であった。今日は、フランクフルトにあるBDIグループ(バイオディーゼル・プラント・メーカー)のUICと言う会社を訪問して、今回の日程は全て終えた。明日の午前の便で羽田に向かう。

 ドイツに入った12月12日にはマイナス16度まで下がった気温は、だんだんと暖かくなり今日は10度で生暖く感じるくらいである。
これまで、出張でドイツに来た時にはいつも空港からレンタカーを借りて行き先を回ったが、今回は車なしのドイツ旅行であったが、荷物を持ちあげなければならない階段がある駅がいくつかあり、腕がだるくなるところもあったが、電車だけで、結構どこにでも行けることがわかった。持続可能世界は筋肉を使う健康生活である。

 こちらに来ての一番の収穫は、一般の人たちが積極的に低エネルギーで生活することに向かっていることが分かったことである。例えば水や牛乳もペットボトルやテトラパックではなく、ガラス瓶が戻ってきている。ガラスは色さえ分別して回収すれば何回でも溶かして利用が可能である。家庭の主婦が普通にガラスの方が環境負荷が小さいのよ、と言っていたのが印象的であった。

 新築住宅は例外なく外断熱の低エネルギー住宅である。これは法律の力もあり、すでに定着しているようである。

 写真はエアランゲンの新築現場の写真であるが、地下の部分の外断熱用の断熱材(難燃性発砲ポリウレタン、青い色の部分)である。

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18 Dec 2012   09:33:29 am
ヨッヘム教授
スイスで進められている中小企業の省エネ活動ネットワーク

 昨日は、ドイツで高効率エネルギー社会(2000W Society)を提唱している高名なエネルギー学者であるエバーハルト・ヨッヘム教授(Prof. Eberhard Jochem)と話しをすることができた。ヴァイツゼッカー教授の紹介で、ヨッヘム教授とカールスルヘのフラウンホーファー・インスティテュートでお会いすることができた。

 ヨッヘム教授は環境問題の解決にはエネルギーの高効率利用、つまり省エネが最も有効な手段で再生可能エネルギーは投資エネルギーが大きく、エネルギー収支が悪いので問題の解決策にはならないと主張されている。現在、スイスで行われている実証プロジェクトについて説明を受けた。

 このプロジェクトは中小企業10〜15のネットワークと呼ばれるグループを作り、このグループ単位で省エネを進めてゆくと言うプロジェクトである。中小企業では専門の省エネ対策部門を設置することができない為に、省エネがなかなか進まないのが実情である。しかし、中小企業が占める割合は大企業より大きくエネルギー消費量の合計も大きい。

 ネットワークには地域のどんな種類の会社も参加できる。現在、スイスの環境省と共同でフラウンホーファー・インスティテュートが推進役となって進めているプロジェクトである。このネットワークに加盟した企業は年に4回省エネ担当者のミーティングを地元で開催する。高効率ボイラーについてとか、高効率照明についてとか、毎回ひとつのテーマに限って開催され、そこに専門家が派遣される。そして、重要ななのは日常の省エネ活動を行う時に、お互いに顔を知っている地元の企業の省エネ担当者同士が経験を交換し、相談しながら省エネ活動を進めてゆく事が重要な点である。一つのネットワークの大きさを10〜15社に限定しているのは、このサイズが最も議論がし易く、一人ひとりの顔が見えて全員が知り合うことが可能な範囲であるからとの事であった。現在、スイスにはこのようなネットワークが約100有り、1500の企業が参加している。

 この中小企業の省エネ運動とも言える活動を、ドイツでも始めると言う。ドイツには1万社が加盟するポテンシャルがあると言う。近いうちに日本にも紹介することで日本の省エネ団体(団体名は後で教えてもらうことになっている)と経産省がパートナーであるとのことであった。この活動については、また追ってブログ上で報告する。


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17 Dec 2012   06:32:47 am
掃除ロボットは省エネ
掃除機は真空掃除機と言う常識はどうやら間違いである

 昨日は、これまで常識と思っていたことが最も資源効率の悪い方法であったと言う例としてエアコンをとりあげたが、今日は掃除機を取り上げる。我が家では数年前からアメリカiRobot社の掃除ロボットRoombaを使っている。この掃除ロボットには、小さな駆動モーターと、センサーがたくさんついている。この掃除機の掃除をする方法は、従来の真空掃除機と根本的に違う。ブラシでごみや埃を取り込み、ブラシに着いたゴミは回転するゴムへらでブラシから取り去り、小さなシロッコファン型の吸い込みポンプでゴミ収納容器にためてゆく仕掛けになっている。

 掃除ロボットは障害物を避けながら、部屋の隅々まで掃除をする。20平米程度の我が家のリビングルームは20分程できれいになる。我が家の同居人である12歳のオス猫がまき散らした毛も絨毯からきれいに取り去ってくれる。購入した時は疑心暗鬼であったが、その威力には驚かされた。20分で容器は一杯になる。このコンテナーの中身をゴミ箱に捨てるだけで、次の部屋の掃除をさせて置けば良い。一応真空掃除機も念のために置いてあるが掃除ロボットが来てから真空掃除機の出番は無い。

 驚くのは掃除ロボットが使う電力である。電気が無くなると時分で充電ステーションに行って充電するが、このバッテリー充電器のワット数は45Wである。だいたい20分動かすと、15Wh程度の電力しか使用していない。真空掃除機は最近はやりのトルネード型では800W程度であるので、同じ20分使った場合、260Whとなり、17倍の電力が必要となる。

 空気を吸い込む時にゴミを一緒に吸い込むと言う方法は、常識のようになっているが、回転ブラシを遣う方法に較べて、エネルギー効率の面から言うと大変悪いものであると言える。センサー技術や小型モーター制御技術の発達により、大量生産が可能となり、価格の低減が可能となった為に一般にも購入が可能なね掃除ロボットが市場に出てきた。省エネの面から言えば間違いなく真空掃除機を上まわる性能である。

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16 Dec 2012   06:00:54 am
エアコンは最悪の方法
長年常識となっていたエアコンを考え直す時がきている

 世の中には常識と思っている事が、意外に資源効率が悪いものが結構ある。例えばエアコンであるが、空気を冷やして涼感を得るアイデアは第一次大戦中に潜水艦の為に発明されて以来、あたかも唯一の冷房方法のようにエアコンが使われてきた。エアコンは空気を冷やすのであるが、ご存じのように空気は断熱材である。温度を伝えることも、保持することにも向いていない媒体である。その空気を冷やして涼感を得るには多大なエネルギーが必要となる。

 一方、オフィスやマンションの構造体は鉄筋とコンクリートである。いずれの材料も良導体で温度を良く伝え、保持する。夏になり、日中の気温が30度を超す日が何日も続くと鉄筋コンクリートは日に日に温度を上げてゆくそのために建築物の構造体の温度は夜になっても高いままである。その為に夜にエアコンを入れることになる。

 熱伝導の良い構造物の中に住んで、熱伝導が最も悪い空気を媒体に使って冷房をする。冬にはこれと反対の事を行っている。夏も冬も甚だ効率の悪いことが何の疑問も持たれることなく行われてきた。

 空気を冷やすのではなく体の出す熱から放射される遠赤外線を吸収する冷却パネルで冷房する輻射熱冷房はエアコンに較べると使うエネルギーは5分の1以下で楽にファクター5を達成することができるが、その条件は建築物の躯体そのものが外気温から断熱されていなければならない。その為には躯体を外側から断熱する外断熱にすることが必要になる。外断熱の効果は抜群であることは実証済みである。

 今回訪れたドイツの友人の家はいずれも外断熱を施しエネルギーコストが半分以下になったと言っていた。外断熱を施して、窓ガラスとサッシを断熱仕様にして熱ブリッジが起きないようにすると居住部の気密が上がる。外気をあらかじめ室温近くにしてから新鮮空気を取り込む強制換気システムが必要となる。しかしこれらを行うことは容易であるし、コストもさほどかからず、改築費用は10年以内に安くなったエネルギーコストで回収が可能である。

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15 Dec 2012   01:54:05 pm
環境学専門家のキャリア
日本ではまだまだだが、欧米ではメジャーな存在になりつつある環境学

 今日12月15日は今いるエアランゲン(Erlangen)からミュンヘン(Muenchen)に移動する日である。エアランゲンでは旧交を温めることと低エネルギー住宅の実際を見ることであった。いずれも目的を達することができたと思う。ミュンヘンで会うのは古い友人で、ミュンヘン工科大学で長年教授をしていたが、先月退官して、いまは名誉教授となった。いまでも研究室と講義も持っているとの事で、名誉教授になって何が違うのかと聞いたら、仕事は変わらないが無給になったと笑っていた。いまはぼくと同じ年金生活者となったとのことである。ミュンヘンでは持続可能性農業を見てこようと思っているが、天気予報では大雨とのことで心配している。

 話は変わるが、ぼくのところ、正確には妻のところに大手の証券会社の営業マンが電話をくれたり、資料を届けてくれたりしている。彼は、国立大学の環境学を学んだと聞き、ぼくのブログの読者になってもらっている好青年である。K君と呼ばせていただく。K君は環境学を勉強したものの環境関係の就職先が無くいまの証券会社に入ったと聞く。

 ドイツの友人たちの話では環境学や持続可能性学は人気の学部だという。こちらの大手企業には必ず持続可能性を担当する部門や担当役員が居ると言い、環境学のエキスパートは就職率が良いと言う。それは、その企業が持続可能性にどのくらい真剣に取り組んでいるか社会に見せる必要があるからだそうである。株を購入する場合の重要な要素であるし、製品を購入する時もその会社がどのくらい環境を意識して製品を作っているかは購入の意思決定に影響を与えていると言う。

 GreenBiz.comと言うアメリカのサイトには大変お世話になっている。と言うのは、お気づきの読者もいることと思うが、このブログでよくとり上げさせてもらっている。この記事に持続可能性のキャリアについての記事が出ている。アメリカのコカコーラ、マクドナルド、GE、などの大企業、にいる持続可能性担当役員達が大勢紹介されているので、是非K君にはこのサイトを見てもらいたい。そして、決して諦めずに一度進もうと思った道を進んでもらいたい。日本の持続可能性の為には環境問題がもっともっとメジャーになって行かなければならないからである。

原文URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/12/11/we-hear-you-pushback-from-peanut-gallery

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