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31 Dec 2012 05:43:22 pm |
一年間の御愛読に感謝 |
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ブログ管理者にとって大きな節目となった2012年を振り返る
2012年は後僅かの時間を残すだけである。冬至が過ぎて10日経つと日照時間が長くなっていくことが感じられる。今、丹沢山塊の向こうに沈む夕日が雲を茜色に染めて明日の元旦の晴天を告げているようである。一見何も大きな変化もないような冬の穏やかな空であるが、この大気に含まれるCO2は今この瞬間も増え続けている。地球の気温は上がり続け、海面の上昇と気象の狂暴化は来年も続く。残された時間は少ないと言うのに人々は経済最優先と、環境に心を馳せる余裕が無い。
今年はぼくにとっては大きな人生の節目となる年であった。65歳の年金生活者となり、社会と自分の関係が新たなものになったのであるが、3ヶ月の初心者のせいかその実感はまだない。
ぼくにとって今年の最も大きなできごとは、ヴァイツゼッカー教授から「ファクター5」日本語版の出版を託されたことである。教授には大勢の日本人環境学者仲間がいる。その人達を差し置いて、学者でも、専門家でもない普通の市井のお爺さんにこの重要な本「ファクター5」の出版を託すとは尋常ではない。
11月に国連環境計画の会議で日本に来た教授と、日本語翻訳を手伝ってくれているボランティアの皆さんと一緒に会合を持った際に彼が言った一言がその謎を解いてくれた。彼は「できればこの本はカラ―刷りの美しい本にし上げて、本屋さんでおばあちゃんが手にとって見て『あら、きれいな本ね。これなら孫に買って読ませてあげたいわ』と言われるような本にしてほしい。」と言って、その為に費用の負担があればそれも厭わないと言う申し出までがあった。
つまり、彼の希望は「ファクター5」はほんの一部の人にしか読まれない学術書にするのではなく広く一般人に読んでもらえるような本にしたいと言うことであると分かった。そして、その為にぼくの様な一般人に日本語版出版を託したのだと分かった。
2013年春に出版にこぎつける為の道は大変険しいが、自ら決めた道なので登りきるしかない。ボランティアの4人の皆様のご努力には本当に頭の下がる思いであるが、チームワークを更に強くして頑張って行きたい。
ブログは昨日の12月29日で500回を迎えた。毎日読んで下さる皆様が居られるお陰で今日まで続ける事ができている。最近のブログの記事はほとんどが、他のメディアからの情報であり、ブログ管理者が書いた駄文となる事が多い。「ファクター5」の内容はまだ全てブログになってはいないが、残っている題材は文章の量が多くブログ一回での掲載には向かないので、皆様には来春出版される本編を購入して読んでもらいたい。
本年一年間ご愛読ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。
ブログ管理人 吉村 皓一
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Posted By : dantesforest |
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30 Dec 2012 01:35:54 pm |
レ・ミゼラブルと産業革命 |
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多くの人を重労働と貧困から救った産業革命
久しぶりに心に残る、良い映画「レ・ミゼラブル」を観た。原作はビクトル・ユゴーが1864年に書いたが、ストーリーは1815年から1833年までを描いている。乾ドックに修理の為の大型船舶が引き込まれているシーンからはじまる。数百トンはあろうかと思われる木造船が何本もの太いロープで引っ張られている。このロープを引っ張る何百人と言う囚人の中に、パン一個を泥棒した罪で20年の重労働の刑に処せられた主人公ジャン・バルジャンがいる。
時代は産業革命の真っただ中で、この時にはジェームス・ワットの蒸気機関は発明されたばかりで、まだ広まってはいなかったのであろう、まだ人力が主な動力源であった。都会には、あこがれて地方から集まって来た人が溢れているが、仕事も品物も少なく貧困にあえぐ人々が描かれている。需要があっても産業に生産力が無かった為に供給ができないと言う経済状態であった。そこで蒸気機関が果たした役割は大きい。大勢の人を貧困と苦痛から救ったにちがいない。正に必要は発明の母であった。産業革命の発明者は人々を重労働や貧困から救ったのである。
しかし、産業革命から200年が経ち、人類は化石燃料を際限なく燃やし続けた結果、地球温暖化を招いてしまったことに気がついた。ここ10年ほど続いている異常気象=気象の狂暴化が大気の温度が地球温暖化ガスにより上昇した事が原因であることはIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の報告で明らかである。
発明された時は有用なものであっても、それが有害なものに変わる例は枚挙にいとまがない。その最たるものは原子力であるが、最近ではエジソンが発明したフィラメント電球は、そのエネルギー効率の悪さから欧州では製造も販売も禁止となっている。
長年の間に築かれた化石エネルギー依存型の経済から化石エネルギーに依存しない産業に生まれ変わるには、既存権益を持つ産業からの大きな抵抗があるのは当然の事である。それでも欧州では持続可能な経済=グリーン経済への移行が着実にはじまっている。あのアメリカでさえグリーン経済が次世代の経済では無いかとの見方が市場からも出はじめている。14億人の国民を抱える中国はしっかりとグリーン経済への移行を見据えている。
来る2013年を日本の「グリーン経済元年」としてゆく為に、ぼくとしては「ファクター5」日本語版がその幕開けにふさわしい本として、また誰にでも読まれるような本として世に出すことに全力を注ぐのみである。
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28 Dec 2012 12:55:14 pm |
政治家に読ませたい本 |
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経済は元に戻せるが、壊された環境は元にはもどせない。答えは持続可能社会の建設
経済は人の営みである。経済の浮き沈みは世の常で、停滞する経済もいつかは必ず上向きになる。リーマンショックで再起不能かと思われたアメリカの経済は徐々に持ち直しており、デフォールトや経済の崖も必ず乗り越える事ができる。破産しかないとまで言われていたギリシャもEUの粘り強い援助で希望が見えて来たと見え、つい先だって格付け会社がランクを3段階も上げた。
日本の経済が悪いと言っても、ゼネストの様な国民運動が起きるわけでもないし、餓死者が出ることも無い。年末年始の連休には65万人が海外旅行に出かけると言う。アメリカの経済が上向きの兆しが見える現在、円は必ず下がり、輸出は増え、どんな無能な政治家が政権をとろうと来年は間違いなく景気は良くなる。
マネーがどんなに力を持ったとしても絶対に人知の及ばないところまで暴走する事はない。どんな投資家でも全て壊してしまっては、それこそ本も子もなくなるので、そうはならずにどこかで制御が効く。
しかし、地球環境はそうは行かない。過去200年の間に人類が化石燃料を掘り出して燃やし過ぎた結果招いた地球温暖化ガスの為に地球温度が2.0℃上がった。その結果として気象の狂暴化が進んでいる。大気中に放出されたCO2はもう戻す事はできない。経済活動とは違い一度壊された環境はもう元には戻らない。東電福島第一原子力発電所から放出された放射能も同じである。一度放出されてしまった放射性物質はもちろん長い半減期が経てば減少はするが、無くなる事は無い。除染作業をしてもその場所に有った放射性物質を洗い流したり、削り取ったりして別の場所に移すだけの事で、放射性物質を移動しているだけの事である。大量に海中に流れ出てしまった放射性物質が今後どのように移動してどこに現れるか、晩発性の人体被害についても結果がでるのには何十年もかかるだろう。
環境問題はそれほど、ぼくたちの生命に密着した大きな問題である。それゆえ、ドイツは憲法にあたる基本法に環境保護を条文に入れた。ドイツの環境大臣は首相に次ぐ重責である。国として真剣に環境保護に取り組んでおり、今はグリーン経済への移行を推進している。この流れは保守、革新を問わず変わる事が無い。
日本の新政権は地球環境保護やグリーン経済への移行については触れようともしない。京都議定書の第二約束期間からの離脱表明を見ても後ろ向きであることが明らかである。今回の選挙で地球環境保護を最優先課題として訴えた議員がいたのだろうか、ご存じだったら教えてほしい。
何度も言うが、経済はたかが人間の作ったものだが、地球(環境)はちがう。政治家には是非とも「ファクター5」を読んでもらいたい。
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27 Dec 2012 06:37:51 am |
なすべきことをなす政治を |
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「できること」をやるのではなく「なすべきこと」をするのが政府
ローマクラブの創設者であるアウレリオ・ペッチェイ博士は「われわれは自らの力に魅惑され、“なすべきこと”や“なすべきでないこと”に対しても、あるいは人類の新しい状況に潜んでいると考えなければならない道徳的・倫理的規制に対してすらも、なんら配慮することなく、どんどん前進しています」(『二十一世紀への警鐘』)と言っている。
われわれが、できることのみを進めて来た結果が今日の状況である。
昨日、発足した新政権は地球環境への配慮に関しては全くふれておらず、自民・公明連立合意にも言及が無い。経済の復興をグリーン経済への移行で行うと言う視点が全く欠けている。
今回、ドイツを訪ねて広く一般に環境保護の意識が啓蒙されていることを感じると同時に、それを法律や経済活動が推進していること目の当たりにして、日本の余りの遅れに唖然とし、マスコミや評論家や学者までが日本は環境対策では先進国などと言っていることにさらに驚かされた。
気候の狂暴化は日に日に進んでおり、ここ二〜三日の異常な寒冷化や中央ヨーロッパでの温暖化はいずれも観測始まって以来の異常だと発表されている。今回の原因はインド洋の海面温度の上昇による偏西風の蛇行がその原因であるとのことだ。このような、史上はじまっていらいの異常な気象はこれから慢性化し、2050年を待つ事無く海面上昇が起き水没する地域が出てくることであろう。
われわれに残された時間はもう残っていないことを知るべきだ。
昨日、特定営利法人気候ネットワークが発表した「安倍政権発足にあたって 〜気候変動問題の緊急性の再認識と、政策措置の強化を〜」と言う提言を、当ブログ管理者として支持する。
この緊急提言は次のURLで読む事ができる。
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2012-12-26.html
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24 Dec 2012 04:54:18 pm |
クリスマスの意義 |
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西欧文明とキリスト教とエネルギー依存型経済
下の写真は、現在翻訳作業中の「ファクター5」の著者ヴァイツゼッカー博士からのクリスマスカードである。訳すと『私はローマクラブの共同会頭として日本語版「ファクター5」の発刊を嬉しく思います。なぜなら、ファクター5はもとより「ローマクラブへの報告書」であるからです。』とある。委託されたぼくの責任の重さをずっしりと感じている。
今日は、キリスト教徒の最大のお祭りの一つクリスマス「聖霊降誕祭」である。正確には24日の日没から25日の日没までである。世界には22億人のキリスト教徒がおりこれを祝う。ちなみにイスラム教徒は13億人、ヒンドゥー教徒は11億人、仏教徒は4億人である。地球人口は70億人であるので、残りの11億人が無宗教であるのかどうかは定かでない。初めて会うドイツ人からは必ず日本でもクリスマスは祝うのかと聞かれる。それには「祝うよ、特にデパートはね。」と答える事にしている。君は、と聞かれると「ぼくは仏教徒だと答える。
これらの世界宗教が始められたころ地球はまちがいなく持続可能社会であった。エネルギー源は太陽のみであった。人々は太陽の運行と共に営みを送っていた。一日で一番日照時間が短くなる冬至は、人々に生命の弱まりを感じさせ、自然に対する畏敬の念を抱かせたであろう。冬至が過ぎると日々日照時間が長くなるのを感じるにつけ、生命の新たな息吹きが感じられる。一年の最も重要なお祭りには最適な日であったのであろう。キリスト教徒の智恵が感じられる。
200年ほど前に英国で起きた産業革命は、地底深く閉じ込められていた「禁断の果実」とも言える化石燃料を使う文明をもたらした。このエネルギー依存型文明がキリスト教をその基底に持つ西欧文明(西欧型経済)と共に世界に蔓延したことには異論は無いと思う。しかし、キリスト教会は19世紀に植民地で行われてきた自然破壊に対し声を上げる事は無かった。しかし、最近はかなり変わってきているようである。
2012年12月19日のフィナンシャルタイムズ紙にクリスマスを迎えるにあたっての異例の寄稿をしたローマ法王ベネディクト16世はその中で『資源を公平に分かち合い、弱者を助けなければならない。強欲や搾取には反対すべきだ。……つつましく貧しい馬小屋の光景から何を学ぶべきだろう。』と持続可能性社会への復帰を呼びかけていると理解できるメッセージを出している。
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Posted By : dantesforest |
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