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08 Jan 2013 11:25:44 am |
未来を見通す見識 |
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ゲーテは1824年に今日の環境破壊に警鐘を鳴らしていた
昨日、東京の帝国ホテルで日本の経済三団体(経団連、商工会議所、経済同友会)が新年恒例賀詞交換会を開き、3000人の経営者が集ったと言うニュースが報道されていた。NHKの報道ではその中の48人の経営者に今年のキーワードをフリップに書かせてならべていたが、その中にただの一人もグリーン経済への移行や持続可能性を取り上げたものは居なかった。今の日本の経営者は、やはり4半期か半期の決算のことしか頭には無く、何を為すべきかを考える余裕はなく、世界の動向も目に入らないらしい。誠にがっかりさせられる。
ゲーテ研究の第一人者として知られるワイマール・ゲーテ協会顧問で作家のマンフレッド・オステン氏はゲーテが1824年に書いた論評のなかで、「畏敬の念が支配的になれば、現在そして恐らく永久に不治の病に伏せっている地球は、そのあらゆる病から救われる事になるだろう」と記しているとし、この頃盛んになって来た産業革命によって引き起こされるであろう環境破壊に対しすでに警鐘をならしていたとしており「しかし、我々は産業革命が始まって以来、おそろしいまでに地球を破壊しています。そこへゲーテが『緑のゲーテ』として、エコロジーの守り手としてやってくるのです。自然に対する畏敬の念を持って。」と語っている。(総合雑誌「潮」2013年1月号)
産業革命真っただ中に有って、既に今日の化石燃料汲み上げによる地球温暖化などの環境破壊を見通したゲーテの深い見識には驚かされるばかりである。
ドイツが憲法を修正してまで環境保護を国是にするには、このような思想が覆水としてドイツ国民の中に流れていたからではないかと思った。シェールガス・オイルやメタンハイドレートなど新たな化石燃料を掘り出す事を「エネルギー革命」などと持てはやし、浮かれている政治家、産業界、マスコミに騙されない為にも「ファクター5日本語版」を一人でも多くの人に読んでもらえるような本にする使命をますます感じている。
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07 Jan 2013 06:33:47 pm |
幸せの国コスタリカ |
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コーヒーやバナナの農園を自然熱帯雨林に戻す事でゼロエミッション
ぼくには幸せな事に世界中に友人が居る。コスタリカにも友人が居て、10年ほど前に一度訪ねた事がある。首都サンホセの近くの町に、おばあちゃん、友人夫婦と子供の3世代が質素ながら仲良く暮らしていた。滞在した3日間の内2日は、ぼく自身が風邪をひいて寝ていたので、結局1日だけ観光をしただけだったが、その分余計に家族から親切にして貰いコスタリカの人の温かさを感じる事ができた。最後の一日友人の運転で見せて貰った所はいずれも自然たっぷりのところばかりであった。友人はバナナ農園で使う農機具の販売をしていたが、その頃だんだんバナナ農園が減少して行く影響でビジネスが成り立たなくなってきたと、嘆いていた事を覚えている。
この国は1949年に憲法を改正して非武装とし、軍事費は教育に充てると決めている。さらに1983年には永世・積極中立宣言を行っている。国土の25%が自然保護保全地区に指定されている。2007年には2030年までにCO2ゼロ宣言を行っている。国土は世界の0.034%しかないところに地球上の生物の5%の種が生きていると言うのが自慢の国である。2009年の地球幸福度ランキングではトップに2012年のギャラップの幸福度の調査で世界で3番目にと、常に上位にランクしている。
コスタリカは過去25年間にGDPを3倍にし、同時に森林面積を2倍にしている。そして現在の予測では2021年には国としてゼロエミッションを達成する世界で初めての国となる。現在、この国は世界銀行からCO2排出権取引の結果として25万ドル(3000万円)を受け取る数少ない国の一つである。
コスタリカは、世界大戦後コーヒーとバナナ農園がアメリカ資本を中心に開発され、どんどん熱帯雨林が減少していた。1996年に環境サービス支払い制度(PES)をスタートした。これは森林を保護する地主に対しその保護サービスに対して対価を支払うと言う制度である。つまり、バナナ農園をジャングルに戻せば森林保護サービス料金を受け取れると言う訳である。ぼくの友人はこの煽りを受けた形だった。この制度は当初は異論もあったようだが、15年後たって全国8000の地主がこの制度に加盟して国土の10%が自然の状態に戻った。地主は1ヘクタールにつき年間78ドル(6700円)を受け取る。新たに保護された地域にはジャガー、オウギワシ、ベッカリー、オオアリクイなどの絶滅危惧種が生息している地域が含まれている。
コンサベーション・インターナショナル(CI)やドイツ開発銀行は将来この熱帯雨林にある種から作られるであろう医薬品や化学薬品を担保に基金を出資しており、現在1700万ドル(15億円)が集まっているが、2012年末には2000万ドル(17億円)になっているはずである。この基金はPESの更なる拡大に使われる。
持続可能国家の一つの有り方を示しており示唆に富み、ぼくらには学ぶ所が多い。
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06 Jan 2013 12:50:35 pm |
バレンタイン商戦 |
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チョコレート産業の持続可能性
クリスマスと新年が終わるとすぐに商戦はバレンタインに切り替わる。日本でもいつの間にかバレンタインにチョコレートを贈るなどと言う習慣?が定着した。チョコレートを世界で最も消費している第一位はオレオなどのブランドを持つモンデリーズ(Modeléz)で売上は200億ドル(1兆7千億円)である。M&Mやスニッカーズのマーズ(Mars)が162億ドル(1兆7千億円)で二位で、キットカットのネッスル(Netslé )が128億ドル(1兆1千億円)と三位に続く。
チョコレート業界はカカオ原産地における環境破壊や、劣悪労働環境、児童労働などの問題を抱えており、その持続可能性が問題視されている。
第二位のマースは2009年にフェアトレードと環境保全の認証をレインフォーレスト・アライアンス等の第三者機関から受けた原材料を100%使用すると宣言を行った。業界4位のヌッテラなどのブランドを持つフェレロは2020年までに認証済み原材料100%に置き換えると宣言している。
これらの動きを見て今回業界一位のモンデリーズが環境対策に4億ドル(350億円)を出資すると発表したが、その用途については未発表であるし、同社が認証済み原材料の買い付けをするかについての発表はないが、業界一位の同社の動きは他のチョコレート業界に大きな影響を与える事が期待される。
カカオ農家では本来学校に行くべき児童が早朝から夜遅くまで長時間労働を強いられていると言う貧困の現状がある。また、自然林をカカオ栽培の為に開発し生物多様性の観点から持続可能性を低下させている問題も大きい。
バレンタインでチョコレートを購入しようとしているお嬢さん方は、このような事にも思いを馳せてもらいたい。
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03 Jan 2013 02:38:00 pm |
環境意識欠如のNHK |
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あー、きれい!が連発されるが、地球環境に思いを馳せる事はゼロ
昨日2013年1月2日午後9時からNHK BSプレミアムで放映された「ようこそ宇宙の特等席へ!地球周遊ナイトクルーズ」と言う番組を見た。
国際宇宙ステーションからNHKご自慢の超高感度ハイビジョンカメラが捉えた地球の画像を見せる番組である。JAXAの宇宙飛行士の古川さんが、自分のミッションの合間に撮りためた画像データは80時間以上であったと言う。その御苦労の集大成とも言うべき番組として作られたものと思う。
お正月であったので、両親と一緒に見た子供たちも多かったと思うが、地球環境保護への教育的観点が全く欠如した薄っぺらな娯楽番組になってしまっていたと感じるたのは、ぼくだけであろうか?
まず、夜景の美しさを見せてくれたのであるが、欧州と日本の都市部の光の強さは日本の方が欧州の都市に較べて格段に明るいはずであるのに、両者に大差が無いように見えた。撮影時のデータは残っているはずなので、それで明るさを補正すれば日本やアメリカの都市部の明るさが、欧州の都市部よりもかなり明るい事が分かったはずで、この夜間照明だけで18億トンのCO2を排出している環境負荷の大きな原因の一つだとのコメントも欲しかった。(小ブログ2012年3月17日参照)
東北の漁火がクローズアップされていたが、サンマ一匹当たりにかけた照明の為のエネルギーと費用も知らせて欲しかった。スタジオに持ち込んだ1kWの漁業用のタングステン灯を同じ明るさのLEDに変えると電力が1/6になり船一隻で600kW消費していたものが100kWになるとのコメントも欲しかった。ちなみに放送で使っていた照度の単位ルックスは現在は使われていない。
オランダのバラ栽培温室の夜間照明についても取り上げていたが、ただただ明るくその光が宇宙からも見えると言う驚きで終わっていたが、オランダ政府はこの栽培方法はエネルギー依存が大きく持続可能性に欠けると言う理由でエチオピアに移設する計画を持っている。エチオピアでバラ栽培をすると空輸しても費用は約半分、エネルギーは空輸燃料を含めても1/20以下になる事が分かっており、2025年までに全バラ栽培はエチオピアに移設することが決まっているが、それには一切触れていない。添付の表参照。
最後のアメリカのシェールガス・オイルのエピソードにいたってはまるで、シェールガス礼賛であった。シェールガス・オイルの採掘には中東の石油採掘に較べると数10倍のエネルギーが掛ることや、新たな化石燃料を燃やす事は新たな環境負荷を増やす事になり、地球温暖化を促進してしまう事になる事を知らせるべきであった。
苦労して撮影した古川さんからも地球環境保護のコメントが出されなかったのも大変に不自然であった。当番組に対する当ブログからの評価は落第である。
MJはメガジュール。1kWの装置が16分40秒(1000秒)間にする仕事量。 |
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02 Jan 2013 08:20:16 pm |
新政権のエネルギー政策 |
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また、もとの木阿弥にもどりかねない新政権のエネルギー政策
昨年暮れに安倍新政権から出されてきたエネルギー政策関連の発言にはかなり気を付けて聞かなければならないものがあった。まず、安倍総理は福島で、今後も原発の推進は続けて行く方針であるとし、福島第一で使われていた原発とは異なる方式のもっと安全性の高い技術を使った原発を新設して行きたいと発言していることである。
現在、日本で原発本体や原発関連の設備を製造しようとしているメーカーは日立、三菱、東芝が中心である。このいずれの企業も半導体戦略で韓国と米国に大きく後れを取った為に半導体ビジネス部門の縮小や海外資本への切り売りを進めている最中の企業ばかりである。また、これらの企業の映像家電も韓国勢に大負けをしており、これらも縮小を図っているところである。半導体、映像家電で空いた穴をふさぐ意味からも、これらの企業からしてみれば原発が最後の頼みなので、経団連等から安倍首相に陳情が行われたのであろう。安倍首相はそれに賛同し、原発こそが「美しい日本」にふさわしい美しいエネルギー源として、原発の復権を図ろうとしている。
欧州の原発大国フランスですら旧型原発の繰り上げ廃炉の検討が始まり、今後の新設は凍結されている。アレバ社も脱原発の模索を始めている。これが世界の原発に対するスタンスであるが、日本はここでも独自路線をとるつもりなのか、京都議定書第二約束期間からの離脱を含め国際世論から批判をうけるであろう。
連立の公明党はそのマニュフェストで新規着工は認めないとしているので、連立与党の責任として断固新設はさせないようにしてもらいたい。一日も早く、同党は反対意志の表明をするべきである。
つぎに、石原環境大臣は2009年に国連において鳩山首相が行った2020年までに25%のCO2削減を宣言し拍手で歓迎された国連演説を反故にしようとしており、前環境大臣からの事務引き継ぎそのものを拒否すると言うパフォーマンスを行っているが、国連鳩山宣言は日本が法治独立国家として国連で行った世界に対する約束である。これを政権が変わったので、我々は知りませんと言うのは国際的に通用しない。
グリーン経済への移行=持続可能社会への変革を正しく行えば、全く原発が担っていた26%の電力など問題無く余剰となり石炭火力も削減できる事は、当ブログが常々提唱している、資源を5倍に使う「ファクター5」の考え方である。
正月早々、管理者の「ぼやき」ではじまってしまい恐縮です。
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