ダンテの森    
13 Jan 2013   04:01:02 pm
飽食の国日本
5800万トンを輸入して2200万トンを廃棄する世界唯一の国

 一昨日(2013-1-11)の小ブログに当日のBBCの報道、英国では年間3兆7億円の食糧が食べられる前に廃棄されているとの報道を取り上げた。この報道から食糧廃棄問題やフードマイレージに興味を持ち少し調べて見た。

 日本の食糧自給率はカロリーベースで39%、生産額ベースで69%で年間輸入量は5800万トンで輸入金額は11兆円である。

 世界中でも日本程、食料品が豊かに売られている国は無く、世界中のありとあらゆる珍味が手に入る。また、野菜、魚介類、菌類は本来その供給が季節に依存するはずであるが、この国では年中何でも豊富に出回っている。おいしもの、珍しいものを手に入れる為には手段は選ばない、世界でも稀な飽食国家と言えよう。

 食糧を生産地から消費地まで輸送する距離と輸送量をかけ合わせたものをフードマイレージ(単位はトン・km)と言い、これが長いほど地球環境負荷が大きい。

 日本のフードマイレージは9000(億トン・km)であり、世界でダントツにトップである。2位はお隣の韓国であるが、3000である。飽食の国と思われているアメリカは2900、BBCが取り上げた英国は1800、ドイツは1700、フランスは900である。これを人口で割ると一人当たりのフードマイレージ(トン・km/人)が算出できるが、日本は7100(トン・km/人)、韓国6500、アメリカ1000、英国3100、ドイツ2000、フランス1800となる。

 日本は食糧を60%輸入に頼っており、その輸入量は5800万トンであるが、そのうち2200万トンが食べられる前に廃棄されている。そして、それらを年間2兆円のコストをかけて処分をする為に更にエネルギーを使い環境負荷を増やしている。

 国に持続可能な食糧政策が無い証拠である。新しい政権の閣僚達がTVに出て来て言う事はただ「景気を良くする」ことに尽きている。GDPを上げる事が彼らの目的のようである。食糧の廃棄に掛る2兆円も放射性廃棄物の除染作業に掛る10兆円もGDPを押し上げる「良いこと」になるのだろうか。閣僚の誰一人として「地球環境」を意識した発言をするものはいない。
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12 Jan 2013   12:48:23 pm
生物のサバイバル能力
究極のサバイバル能力を備えたクマムシから何を学ぶべきか

 地球上に住む生物は自分の種を残す為にありとあらゆる戦略を持っている。緩歩動物のクマムシ(Tardigrada)は地球上の全ての場所に生息し1000種以上も発見されている。ふだんは水分が有るところで活動しているが、その場所が乾燥してくると自分の状態を樽のような形に換え非活動状態になり再び水分が得られる状態まで待ちの体制に入る。

 その時の鍵は体内の糖分の状態である。糖分をガラス状に換えて細胞を熱や圧力から守り、DNAを放射線から守る。この状態をクリプトビオシスと言うが、この状態になったクマムシは、全く乾燥した場所で、温度は-273℃〜151℃の間、圧力は真空〜75000気圧、放射線は57万レントゲン(ヒトは500レントゲンが致死量)の状態に長時間耐える事ができる。

 120年前に採集された苔の間に有ったクリプトビオシス状態のクマムシを水の中に入れると再び活動を始めた例が報告されている。宇宙空間に10日間放置された後に水分を与えられて活動を始めた例も有る。

 クマムシは人類が備えていない夢の様な優れたサバイバル能力を備えており、恐らく人類が滅亡した後にも生き残る種の一つである。

 自然から学ぶと言う学問「バイオミミクリ―」では、自然界が数十億年の間に習得した究極の省エネの方法を調べて持続可能な社会に生かそうとしている。

 人類は空を飛ぶ技術を得たと言っても、鳥にはかなわない、船や潜水艦も魚やくじらには負ける。そして、サバイバル力ではクマムシには勝てない。その上、かれらは最小のエネルギーでそれら全てをやってのけている。

 自然界は最も厳しい予算で生の営みを続ける事を全ての生物に要求しており、全ての生物は例外なくその予算管理のもとで生きている。人類だけが例外で、地下資源と言う予算外資源を勝手に使って放漫な営みを行っている。そして、自らの存在の根拠である地球環境そのものを危機に陥れていることに気づくべきである。
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11 Jan 2013   11:31:01 am
消費と廃棄が同量の食糧
8人に1人が飢餓状態に有るのに、年間20億トンの食糧が廃棄されている

 2013年1月11日のBBCの報道に、「年間20億トンの食糧が廃棄されている」と言うニュースがあった。この報道によると、英国では形の不揃いな野菜はスーパーの棚には並ばず棄てられていること、「2つ買えば2個目はタダ」などの販売方法で消費者が必要以上に購入し棄ててしまうからであるとしている。また、この報道によると同じような理由で世界で年間20億トンの食糧が廃棄されており、これは世界の食糧総生産量の半分にあたるとしており、ぼくも大変興味を持ってこのニュースを見た。

 一方、FAO(国連食糧農業機関)が2012年10月に発表した資料によると、世界で8億7千万人が飢餓状態にあるとしている。この数字は1992年〜2012年の10年間で1億3200万人減少しているが、今でも地球の8人に一人は飢餓状態にあるのに関わらず、生産されている食糧と同量が廃棄されている現実は現在の経済の仕組みがまともでは無い証拠であるとの思いを強くした。

 その後でBBC電子版を見ると、この報道に対し小売店の業界団体が反発を示している。この団体はEUが導入しようとしている「外見を理由に農作物を販売しない事に対する規制法」に反対で、ロビー活動を続けている。この団体によると、「2つ買えば2個目はタダ」は景気を喚起する働きが有り経済に好ましいとし、多量購入した場合の保存方法や加工方法に関する情報を提供しているし、このようなセール対象商品の外見品質基準は緩めているので、かえって廃棄する量が減っているとしている。また、同団体によるとスーパーは生産者と、連携をはかっていかに廃棄食糧を減らすかの努力を重ねておりBBCの批判は当らないとしている。また、BBCの言う20億トンは多すぎると指摘している。

 BBCによると、実際にどれだけの食糧が廃棄されているかの統計資料は無い為に20億トンと言う数字は推定したものだと言う。因みに20億トンの食糧を生産する為に排出されるCO2の量は約10億トンで、年間総排出量の3%に匹敵する。

 飽食の国アメリカでは年間13兆円が廃棄されており、それよりひどいのは日本で、食糧自給率が低い日本は年間5800万トンの食糧を輸入しているが、2200万トンを廃棄しており、金額になおすと11兆円が廃棄されている。世界の食糧援助は1200万トンであることを思うと日本人の「もったいない」は、いったいどこに行ってしまったのだろうか。

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10 Jan 2013   11:49:39 pm
進む地球温暖化
それでも化石燃料を燃やした性ではないとする市場の人達

 国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第五次報告書が本年、2013年5月に発表される予定であるが、昨年12月に一部のデータがリークされ、IPCCに異論を唱える団体により、このリークデータを使っての各国政府へのロビー活動が始まっている。第五次報告書は地球温暖化はより一層深刻化しており、気候の変動は激化の一途をたどっており、それは人類の営みがもたらしたものであるとの結論が導かれているらしい。

 毎回、IPCCの報告書は事前リークが起きるが、これはIPCCと言う機関は世界の気象データを集める必要があり、全世界に2500人もの気象科学者が参加しており、報告書執筆はその中の800人もの多人数で行われている為に発表まで秘密を保持するのは至難の業と思える。

 2013年1月8日のアメリカ気象データセンター発表によると、2012年のアメリカの平均気温は108年前の1895年に同センターがデータを取り始めて以来の高い気温で全米・年平均12.94℃でこれは20世紀中の平均気温より2℃高い。

 2012年はヨーロッパ各地やオーストラリアでも記録的な高温が記録された。下の図はアメリカ気象局NOAAが2013年1月7日に発表した地図で、アメリカで過去最高気温を記録した場所が赤い点で示されている。

 それでも市場は地球温暖化は化石燃料を燃やしている事とは認めたくないらしく、昨年末にアメリカを襲いオバマ当選の引き金となったハリケーン「サンディ」についてもビジネス・ウイークは「サンディ、これは地球温暖化なんかでは無い―そんなバカな!」と言う見出しで反論を試みていた。ウォ―ル街のエリート達は、リークデータを使って5月に出されるIPCC報告書への反論を考えていることであろう。
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09 Jan 2013   07:12:06 am
ロボットカ―はエコ
本格的衝突回避装置付き自動車は車重を軽くできるはずだが

 自動車の衝突防止装置技術が注目を浴びている。2013年1月8日トヨタが自律走行自動車、ロボットカ―を発表した事で、各社とも自動運転車の開発に勢いがついてくるとの報道であった。

 現在の普通自動車の軽いものは700kgから重いSUVは2,200kg位の重量である。因みにその燃費は36km/ℓから7km/ℓである。それで、一台の車が輸送しているのは平均で1.7人であるので、人間一人平均70kgとすれば120kgの人間を運ぶのに約1トンもの重さの車体も動かす為に多大なエネルギーを使っている。

 それは、自動車はもしもの事故の際に搭乗者の生命を守る必要があるからである。その為に車体は頑丈で無くてはならずその構造の為に重量が増す。自動車の重量が増えると快適に発信停止が行える為には強力な推進装置や制動装置が必要で、その為に重量がさらに増す。

 絶対に衝突しない自動車ができれば安全の為に使っていた補強の為の構造は軽くなり車重を軽くできるはずである。つまり、更なるダウンサイジングが可能となり、安全で環境に優しい自動車ができるはずである。現在燃費が30km/ℓのエコカーであれば、その車重が半分になれば、50km/ℓも可能になるはずである。しかし、自動車メーカーは衝突防止装置が装備されると車重を軽くでき、燃費が向上し環境に優しい自動車が実現するとは全くアピールをしていない。自動車メーカーは他方で燃費向上は環境保全の為と言いながら、衝突回避装置が付いた自動車は車重を軽くできる分環境に優しいとは発表していない。専ら安全性の向上を強調するのみである。

 自動車マニアが読むと思われる衝突防止装置について書いているサイトをいくつか覗いて見たが、残念ながらそこにも環境面でのメリットについては全く語られていない。

 全ての技術革新は地球環境の回復の為にと考えるようになるのが、グリーン革命、持続可能社会への移行であるが、畏敬の念を忘れてしまった日本人には遠い道のりなのか。

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