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18 Feb 2013 12:01:44 pm |
京都議定書記念日 |
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デフレ脱却とCO2排出削減のデカップリング(切り離し)ができない日本
2月16日は京都議定書発効記念日だった。2005年2月16日に前年に遅れていたロシアが批准した事で発効することになった。京都議定書は1997年12月、橋本竜太郎首相を議長に京都で開催された地球温暖化防止京都会議COP3で12月11日に採択された。
1997年当時は、地球の平均気温が「2℃」上昇するすると気候変動が深刻になると言う事自体が議論の対象であったが、それがやっと国際社会で認識されたのが京都議定書である。
削減目標はこれまでの排出量を勘案した上で1990年を基準として各国別に削減割当量が決められた。
-8% 欧州15カ国
-7% アメリカ(この数字を不満とし離脱)
-6% カナダ(同じく離脱)、ハンガリー、ポーランド、日本
-5% クロアチア
0% ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
+1% ノルウエ―
+8% オーストラリア(離脱していたが、2007年に政権交代があり批准)
+10% アイスランド
であり、守らなかった場合には超過した排出量を3割増しにして次期排出削減枠に加える、また排出権取引の権利を失うなどの罰則を設けている。
現在、署名84カ国、締約国172カ国で合計で総排出量の63.7%であるが、特に排出量の大きい中国、インドなどは、産業化の歴史が浅いと言う理由で加盟していない。
欧州各国はEU内で各国が異なる目標値として欧州全体での目標達成をしようとしている。ドイツ、デンマークは-21%、英国は-12.5%など高い目標値を掲げてギリシャやポルトガルなど達成が難しい国を補てんしている。
発効後8年経つが、2012年のUNEP(国連環境計画)の報告書によれば、2020年に「2℃」とするには現在既に排出量が80〜130億トン超過しており(地球全体で現在年間約300億トン)、このまま推移すると2020年には「4〜6℃」の平均気温上昇となる可能性がある。この温度上昇は地球上全ての地域で大きな気候変動の影響を受ける。
日本の削減目標6%は途中2007年には+15%となり達成が危ぶまれたが、リーマンショックの影響で2009年には大幅に下がり-4.1%となった為に、第一約束期間の目標は達成したが、2013年からはじまる第二約束期間からは原発が使えなくなった事を理由に離脱している。
日本では産業界を中心に世界有数の環境対策を実施してきたのに-6%の削減目標が高すぎたと言う論調が目立つが、国民一人当たりのCO2排出量(環境フットプリント)は国際的には大変高く-6%は決して多くは無い。重工業が占めるCO2排出量の割合は12%で例えこの分野で環境対策が進んでいてもその他の、建築40%、交通23%、農業18%などは手つかずのままである。欧米では一番大きな分野の建築に重点を置いて省エネビジネスが進められている。
日本ではデフレ脱却が最重要課題でその為にはもっとエネルギー消費が必要であると言わんばかりの産業界とエネルギー業界の考え方が、3.11以降原発が使えなくなったので、化石燃料の使用が増えるのはやむを得ないと言う風潮が省エネへの力を弱めている。
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17 Feb 2013 04:48:19 pm |
ドイツの自然チーズ農場 |
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地元の酪農家組合が自力で作った自然酪農とゼロエミッション工場
昨年暮れにドイツで買って来たチーズが今日で終った。とても美味しいので、少しずつ大事に食べていたが、今日がその最後の一切れであった。このチーズが作られたのはドイツ・バイエルン州テーゲルンゼー(Tegernsee)地方の自然チーズ農場(Tegernsee Naturkaeserei) である。
過去数十年にわたりバイエルン州の酪農家は搾乳した牛乳を全てそのままタンクローリーで出荷していた。チーズへの加工は加工コストが安いと言う理由で牛乳をイタリアのチーズ会社に送り委託していた。しかし、できあがって来るチーズの品質には常に不満があった。また、年間を通じて乳牛には配合飼料を与えて冬の間は放牧もせずに搾乳を続ける、いわば牛乳の大量生産では昔のような風味の牛乳ができていないと言う問題も有った。
テーゲルンゼー地方は高級別荘地として知られ高級チーズの需要が有るのに、地元のホテルやレストランでは地元産(じつはイタリヤ製)のチーズが敬遠されるようになった。
この状況を打破しようと2007年から地元の酪農家達は勉強会を開き、昔この地方で作られていたようなおいしいチーズを自分達の手で作ろうと言う事になった。
そして、まず乳牛の飼育方法から変えていった。牛には地元で生育した牧草のみを与え、配合飼料は与えないことを決めた。牧草は昔から地元で生育していた種類に限定した。地元産の牧草は風味が有り牛が喜んで食べる。また、ミミズが増え土壌が豊かになり、害虫にも強い事が分かった。牛フンも最長3週間で完全に分解する事も分かった。
冬場に備え刈り取った牧草は急速乾燥させることで風味を保ちながらひと冬保存できることも分かり、冬場の乳牛の食欲も落ちない事が分かった。それまで牧草はサイロで保管していたが、品質が落ちることがわかりサイロの使用をやめた。冬にも乳牛を雪の牧場で運動させる事、冬場の搾乳を止める断乳を行う事で、乳牛の健康状態が良くなり、春に出産する子牛の数が増えた。このように「自然酪農」を行うようになり、土壌改良剤、除草剤、農薬の散布が著しく減少した。
つぎに、2010年にはチーズ工場を組合員の出資で作った。建築は木造石積みの伝統的な建築とし、外壁断熱と窓枠を断熱性の高いものにして低エネルギー建築にした。屋根には太陽光パネルを敷き詰め夏の日照時間が長い時にはゼロエミッション操業が可能となっている。工場用熱源の温水、冷水、発電を一つのユニットでおこなうコジェネ・ユニットを設備した。これらの省エネ対策で従来のチーズ工場に較べ60%の省エネが達成された。
このチーズ工場で作られたチーズは種類により最長18ヶ月熟成された後に地元ブランドで工場の直営店や地元のレストラン、ホテルで出され好評である。現在21の酪農家が組合員で外部資本は一切入っていない。ドイツの大手スーパーが資本参加を申し入れて来たが断っている。また、公的機関からの財政援助も受けていない。
YouTubeで見れる:
http://www.youtube.com/watch?v=nKDzmGxIwr4&feature=player_embedded#!
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16 Feb 2013 04:38:09 pm |
オゾン層と異常気象 |
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南極オゾン層とジェット気流南下の関係――米ペンシルベニア大学の研究
Futurity.org 2013-02-04 Penn Uniの発表
毎年、史上初と言われる記録的異常気象が頻発しているが、これらはジェットストリーム(偏西風)が南に蛇行する為に発生していると考えられているが、何故ジェットストリームが南に蛇行するのかの原因は分かっていない。
米ペンシルベニア大学、気象学部のSukyoung Lee教授達のグループがその研究をし、興味深い結果を発表している。
Lee教授によると、これまでジェットストリームと南極のオゾンホールの関係を調査したものは無く彼女達はそこに注目したとする。
地球上の気流の流れを4つのパターンに分け、それぞれのパターンがCO2の変化とオゾンホールの変化からどのような影響を受けるかを調べた。
この研究の特徴は、従来気象の研究では長期間モデルを使う場合が多いが、気流の変化は週単位で変化する為に、日単位のデータを解析したところにある。その結果、ジェットストリームの南側への蛇行は南極のオゾンホールの活動に影響を受けるとの関連性が認められたと言う。
図は、1979, 1987, 2006, 2011年のそれぞれ9月16日のオゾンホールの状態である。この図を見て、オゾン層を破壊すると言われるフロンの放出は1980年代に確か止めたはずではなかったのかと言う疑問が湧く。
産業界は、現在冷蔵庫やクーラーに使われている代替フロンと言われる物質は従来のフロンとは違って滞留時間が短くオゾン層に影響が少なく、それらも使用後は大気に放出する事は無く100%回収すると言っていたはずである。
もう一度フロン等オゾン層を破壊する物質とその回収実態について詳しい調査をするべきであると思う。
この研究発表の原文(英文)URL:
http://www.futurity.org/earth-environment/ozone-loss-is-biggest-factor-in-jet-stream-shift/
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15 Feb 2013 04:50:35 pm |
省エネ光源LVD |
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LVDは低電圧無電極ランプで放電管の種類
GHG(地球温暖化ガス)の総量の40%は建築物から出されている。その中で照明は、アメリカで13%、欧州で12%、中国で9%を占めている。白熱電球を蛍光灯やLED照明に交換することで80%の証明が達成できるので、フィラメント型電球を法律で禁止する国が結構ある。
初めたのはキューバで2007年にフィラメント電球を禁止にした。2008年12月にEUは2009年から4カ年でフィラメント電球を段階的に無くして行く法律が作られた。アメリカでは州によっては同様の州法がある。
蛍光灯、LEDが省エネルギー光源として知られている。蛍光灯は価格は安いが、水銀が使われているために、使用後の水銀回収を怠ると環境汚染につながる。まだ余り知られていないLVDと言う光源があるので紹介する。
LVDはランプ内に電極が無い無電極ランプで、電磁誘導の原理と放電による発光の原理に基づいた仕組みで発光する。コイルに高周波電流を流すことにより、フェライトコアに磁界を発生させ、この磁界よりランプ内に電界をつくり、この電界から放出された電子が蛍光粒子に衝突することで(ここからは蛍光灯と同じ原理)紫外線が放出され、この紫外線がランプ管内壁に塗布された蛍光体により、可視光に変換される。
ランプ内に電極が無い為に劣化が少なく寿命が10万時間と長いことと、照度がワット当り80lm(ルーメン)と高い事が特徴である。
但し、LEDのような小型の照明には適さず、最低でも40W以上となり上は300W程度である。従って、用途は道路、トンネル、体育館、スタジアム、駐車場、港湾、工場などに適している。従来、水銀灯、ナトリウム灯、蛍光灯が使われているが、これらの寿命は8千〜1万2千時間であるので、寿命が約10倍になる。交換の為の保守費用が大幅に削減される。LEDは戸外設置条件では3万5千時間程度を推奨しているので、LEDよりも3倍長持ちする。価格はほぼLED並みである。LEDは半導体である為に運転温度が上がると照度が落ちるが、LVDはそれが無い。
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14 Feb 2013 03:17:09 pm |
一般教書演説、日本の報道 |
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57ワードしか無かった北朝鮮批判が見出しの読・朝・産経
昨日、アメリカのオバマ大統領の一般教書演説を日本のマスメディアがどのように報道しているかに興味を持ち、とりあえず手軽に調べることができるインターネット版での扱いを調べて見た。各紙電子版の見出しは次の通りである。
読売:北に断固たる行動取る…米大統領一般教書演説
朝日:オバマ大統領、北朝鮮を強く非難
毎日:理想より現実路線 オバマ氏2期目、内政重視鮮明に
日経:中間層底上げ最優先 一般教書演説
雇用創出で消費拡大、財政問題は解決策見えず
産経:「北へ断固した行動」オバマ大統領が警告「孤立を深めるだけ」
また、環境・エネルギー問題や教育政策、景気刺激策を兼ねた公共投資
によるインフラ整備の重要性にも踏み込んだ。
Newsweek日本版:全ての発言内容の要約
一般教書演説2013年は全6450ワード(英文)であったが、その内830ワードが気候変動・エネルギー問題に割かれていた。財政、メディケア、税制に続く4つ目の項目として取り上げられており、オバマ第二期政権の最重要課題と言っても過言では無いと思われるが、日本のマスメディアにはそうは映っていないようだ。特に朝日、読売、産経の見出しだけ見ると一般教書演説で北朝鮮非難に力が入っていたように見えてしまうが、危険兵器の拡散に対応しなければならないと言うくだりで、北朝鮮には断固とした姿勢で臨むと、57ワード触れられているだけである。
皆さんに知って貰いたいのは日本のマスメディアの報道だけを信じては絶対にならないと言う事です。今はインターネットと言うツールが有るので、どんな情報も手に入れる事ができます。しかし、それらはこちらから取りに行って初めて手に入るものです。TV、ラジオ、新聞などのメディアには既にフィルターがかかった情報しか出されていないと言う事を知るべきです。そして、特に日本のマスメディアは政府や経済団体のPR機関でしか無く、ジャーナリストとしての働きはしていない事を知った上で情報を読んで戴きたい。
小ブログ「ダンテの森」はこと地球温暖化に関しては常にジャーナリスティックな視点を忘れずに皆さんにお伝えして行きたいと努力を重ねて行く。
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