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16 Mar 2013 06:25:50 am |
環境に背を向ける安倍内閣 |
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3月15日の地球温暖化対策推進法改正案の閣議決定は明らかな「おためごかし」
2013年3月15日、「地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)の一部を改正する法律案が、閣議決定された。
改正法案は、2009年より議論されてきた地球温暖化対策基本法案が、昨年、衆議院解散と共に廃案になったことに伴い、現行の温暖化対策推進法(温対法)の改正案へと変更され、2013年以降の計画を策定することを位置付けるためのものである。
しかし、法案には、2020年の中期目標のみならず、既に政府において閣議決定済みの2050年80%削減の長期目標すら明記されず、同日開催された、地球温暖化対策推進本部において、80%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしているのにもかかわらず、目標に関する文言はどこにも見当たらない。
また計画は、少なくとも3年ごとに見直しするとされてはいるが、計画には期限が明記されていない。さらに、附則で、平成27年(2015年)までに法制上その他の必要な措置を講ずるとされたが、国際的な新枠組みが合意される2015年まで何もしないと言うことにも受け止める事ができる。
今回の法改正では、これからの日本の温暖化対策の方向性も時間的な目標も明らかにしておらず全く環境問題に対する姿勢が見えてこない。
国際交渉の舞台では、2020年の現在の先進国の目標では不十分とされ、更に目標を引き上げる議論が進められている。2020年に目標を引き上げなければ、気温上昇を2℃以下に抑える目標の達成がほぼ実現できなくなるからである。今回の法改正は、こうした状況を踏まえ、日本が温暖化対策を行って行くはずのものではなかったのか。安倍首相は海外に対して自国を環境先進国などと吹聴しているようだが、大嘘つきとしか言いようがない。
閣議決定は全会一致であるが、公明党の太田大臣も賛成したのは環境を守るとしている公明党の方針には反する事にならないのか。
特定非営利活動法人気候ネットワークがプレスリリースを出しているので一読してもらいたい。URLは次の通り。
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/archive/pr20130315.pdf
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13 Mar 2013 11:13:11 am |
メタンハイドレート |
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絶賛の声しか発さない日本のマスメディア
昨日から、日本のマスメディアはこぞって愛知県沖で資源開発庁がメタンハイドレートの試掘に成功したとのニュースをまるで天皇家に子供が生まれた時のような手放しのよろこびで伝えている。
ジャーナリストたるもの問題の両面を伝える義務が有ろうと言うものであるが、日本のマスメディアには、もうとっくの昔にそのようなものを忘れ去っているのか、これで日本のエネルギー問題は解決だと夢のようだと褒めちぎっている。
メタンハイドレートは古世代に大量のプランクトンが死滅し発生したメタンガスが次におとずれた氷河期に氷の中に封じ込め海底深く沈んで形成されたもので、燃える氷などと呼ばれている。これは世界中ほとんどどこにでもあり、最大の塊はメキシコ湾にあると言われている。しかし、これまで見向きもされなかったのは、単にその採掘にかかるコストが原油1バレルに換算して130ドルも掛り、中東の原油価格に対抗できなかったからである。2008年に原油価格が140ドルに届かんばかりに急騰した頃から、にわかに世界はメタンハイドレートに着目しはじめた。原油価格は現在も90ドル半ばで高止まりしており、いずれ130ドルに迫るだろうから、メタンハイドレートは商品価値が出てくると考えられている。
メタンは燃やされると同じ熱量を得るのに約半分のCO2しか排出しないので、石油や石炭よりも環境負荷が少ない化石燃料である。しかし問題は生でメタンが大気中に放出されると、軽いメタンは高速で大気圏まで登りそこに留まる。そしてメタンの温室効果はCO2の25倍である。
これまでの天然ガスの採掘、貯蔵、運送をエネルギー産業は長年行ってきたが、現在これらの工程で漏洩の為に大気に放出されている天然ガスは6%であるとしている。恐らくこの6%は最大限の努力の結果であろうと推測する。そうすると、メタンハイドレートをガス化してからもやはり6%は漏れる。これはCO2に置き換えると1.5倍の量になる。燃やした時に出るCO2が0.5でも漏れる分を加えると2倍の環境負荷となる。
そのほか、海底で採掘を行うとその回りにメタンの気泡が発生し気泡が周りの堆積物を持ちあげて行く。そうして順々にその直径が広がって海底の地形を変えてしまうほどの量の堆積物を海中に巻き上げ、軽くなった海底が地滑りを起こし、地震の原因となりうるとの研究がノルウェーで行われている。[Wood et al 2002]
それに、奇妙なのは何故3月と言うこの時期にこの発表が打ち上げられたのかと言うタイミングである。資源エネルギー庁がこの開発予算を増やして貰いたいと言うデモンストレーションであることは見え見えである。マスメディアはそのお先棒を担いでいるだけである。
上に書いたような、負の面も報道して国民に知らせるのがマスメディアのジャーナリストとしての使命であると、ぼくは思う。
「ダンテの森」としては新しい化石燃料を探す費用を省エネとグリーン経済への移行に注ぎ込むべきであると考える。
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08 Mar 2013 07:03:27 am |
自然の力で土木工事 |
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オランダの砂浜建設プロジェクト、サンド・モーター
オランダの海岸の砂浜は毎年海に砂を削り取られ小さくなる。その対策に5年毎に大規模な浚渫工事をが行われ、海底からポンプで砂を吸い上げて砂浜を補修する。地元南オランダのリークスワタ―スタート(Rijkswaterstaat)市が浚渫を行うのは、観光客や海水浴客の為だけでは無い。同市は海抜ゼロメータで、この砂浜が無くなってしまうと海水は市街地に侵入してくるからである。
5年毎に浚渫を繰り返さなくても砂浜を守る方法は無いかとオランダ政府と科学者達が考え出したのがサンドモーター(The Sand Motor)である。これは自然の力、この場合海の流れと風をつかって砂浜を作ろうとするもので、いわば自然エネルギーで土木工事を行おうとする、持続可能な工法である。
2011年3月に工事がはじまり、砂浜の沖合1kmにフック型の長さ2kmの半島を作った。砂は10km沖合の海底からポンプで吸い上げた。この人口半島がサンドモーターである。サンドモーターは一度作る最低20年間は何もしなくても良い。この半島が海の流れを変えて海岸と人口半島の間を砂で埋めてくれる。更に風が砂丘を作る。
科学者たちはサンドモーターの変化と天候の詳細なデータを収集してサンドモーターのシステムのパラメータを作っている。オランダ政府はサンドモーターの技術標準を作ろうとしている。世界にはこの工法が適応できそうな場所が相当あり、地球温暖化の為に水没の危険が予想されているところも多い。そう言ったところにオランダはこの技術を持って進出しようとしている。
サンドモーターによって作られた新しい大きな砂浜と砂丘は市民と観光客のいこいの場となっている。
サンドモーターのホームページ(英文)URL:http://www.dezandmotor.nl/en-GB/the-sand-motor/
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23 Feb 2013 07:31:17 pm |
スペインの電力事情 |
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風力が27.3%を記録、再生可能エネルギーが44%となった。スペイン
もう20年も前のことになるが、スペインをドライブしていたときに、ジブラルタルを過ぎてカディスへ向かう大西洋に面した海岸地方に差し掛かった時に、稜線に巨大な風車発電機が忽然と現れ、それが何十、何百と出て来てそれは圧巻であった。その頃は日本では風力発電など夢の話であり、すでにスペインでは始まっていたのを自分の目で見て驚いた記憶がある。
最新のフランスのエネルギー専門誌電子版ENERZINE.COMによると、スペインの送電専門会社REE(Red Electricia de Espana)が2013年1月16日に風力発電により345,011MWhを発電しこれまでの記録を更新したとの記事があった。これにより風力と太陽光パネルによる再生可能エネルギーが電力全体の27.3%となり、これはスペインの全世帯の家庭の電力を賄える電力量であるとしている。スペインの再生可能エネルギーはこの他、水力12.4%、地熱2.0%、太陽光電池発電1.8%、太陽熱発電0.5%があり再生可能エネルギーの合計は44%となっている。
スペインは1984年に電力の民営化を行い、その時に電力の安定供給と安全保障を確保する意味から電力の送電専門に行うREEを設立した。REEは上場企業である。REEは全国の火力、原子力、風力、太陽光などの大小様々な発電会社から電気を購入し、全国に有る自由化された電力販売会社に販売している。電力需要の予測を行い、どのような電力ミックスが最も安定が得られ、経済的かを考えて供給元を細かく選ぶ事で企業としての利益を増やす努力をしている。また、余剰電力を他国に輸出するのもこの企業の業務である。REEは株主配当を続ける黒字企業である。
スペインでは2009年に再生可能エネルギーが原発を上回り原発による発電の割合は40%から現在の24%に減少し脱原発の工程表が明確である。昨年から古い順に原発の停止を行っている。
REEのホームページには、電力の状況が一目でわかるページがあり現在のスペインの電力使用量、とこの先数十時間の需要予測、供給電力ミックスの割合、CO2の排出量がリアルタイムに分かる。このグラフを見て、いつ電力を購入すると一番安いかなどを調べて電力購入を細かく調整している企業や家庭があるのだろうと思う。エネルギー企業の透明化は最も求めらる事でその意味からもこのような情報提供サービスは望ましい。
スペインと言うとEUの中で経済状況が悪く問題児のように日本では言われているが、環境問題、エネルギー安全保障面では日本は足元にも及ばない観がある。1980年代から着々と再生可能エネルギー化を進めて来ている欧州の国々と、原発一辺倒でそれ以外には国民の目が行かないようにしてきた日本のエネルギー政策の差は大きい。
風力発電量の変化がリアルタイムに見える画面は次のURL(英語):https://demanda.ree.es/eolicaEng.html
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21 Feb 2013 11:16:27 am |
UNEP2013報告緊急版 |
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UNEP国連環境計画が2013年次報告書緊急版で世界に警告
2013年2月18日UNEPは緊急版として78ページの年次報告書を発表したが、あいかわらず日本のマスメディアは全く取り上げる様子が無い。
UNEPの年次報告は今回で10回目となるが、今回は特に北極海の氷が急激に減少していることを重点的に取り上げている。その他、化学的リスクが減少していること、アフリカゾウとサイが乱獲されており生物多様性に影響を与えている問題、増大する都市環境問題への挑戦、短期的な公害問題について取り上げている。
北極海における著しく急速な氷の減少について警鐘を鳴らしている。2012年の北極海の氷の量はこれまでで最小を記録した。(写真参照) グリーンランドを覆っていた氷は2012年7月には97%が溶けてしまっている。
北極海の温暖化は生物多様性に大きな影響を与えている。北極海の植物相、動物相はいずれも大幅に減少しており、特に海洋哺乳類への打撃は大きく、絶滅危惧種が増大している。これまで北極海には見られなかった魚類の存在が認められはじめ地球全体の食物連鎖、生物多様性に大きな影響が出始めている。
この地域の気温は世界の気象に大きな影響を与え、海流にも影響を与えている。数百万羽単位の渡り鳥の移動経路が変更されこれまで通過地点であったところの動植物に影響が表れ始めている。
ツンドラの凍土が溶けはじめこれまで閉じ込められていた大量のメタンガスが大気中に放出されている。メタンはCO2の25倍の温室効果を持っており、今後の地球温暖化を更に加速する。
UNEPがこれまで出し続けて来た警告にも拘わらず、世界は地球温暖化対策を経済危機からの脱却を理由に先送り、あるいは無視をしている。それどころか、北海の氷が減少している事をエネルギー産業や海運企業は商機と捉えて北海沿岸における化石燃料採掘開発や港湾施設建設をはじめて、更なる環境破壊を進めていると警告している。
先日、「エクソンはあなたの子供達を憎んでいる」と言うスポットコマーシャルを環境保護団体が流して話題になったが、ほんとうにエネルギー産業は未来の子供達が憎いのでは無いかと思いたくなる。UNEPに耳を貸す経済人は居ないであろうから、ぼくたちが声を上げて政治を動かすより方法はないと思う。
UNEPの報告書(英語8MB)は次のURLでダウンロードできる。
http://www.unep.org/pdf/uyb_2013.pdf
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