ダンテの森    
03 Nov 2013   10:37:51 pm
環境首都北九州市
世界の環境首都を目指す北九州市はOECDから選ばれたモデル都市
ブログ管理人

 パリ、シカゴ、ストックホルム、北九州この4つの都市から何を連想するだろうか。OECDが選んだ「環境と経済成長を両立させているグリーンモデル都市」である。

 北九州市のホームページでは、同市の環境への取り組みは本格的である事が分かる。世界の環境首都と言うタイトルをクリックすると、「公害克服の技術と経験を生かし、環境国際協力や循環型社会づくりを進めるとともに『世界の環境首都』を目指したまちづくりを行っています」とある。

 昔は石炭取引で栄え1901年創業の八幡製鉄(現新日鉄住金)が有る鉄鋼の街で、1960年代には、ばい煙と死の海の公害都市であった。同市の反公害運動の歴史は古く1965年には婦人会が中心となって始めた「青空がほしい」運動が行政を動かし、環境改善の市民意識は今も高く、家庭ゴミ発生量は一人当たり506グラム/日と全国平均1030グラムの半分である。

 鉄鋼と窯業が主要産業であるが、1970年のオイルショックによりエネルギー効率を高める省エネ技術、熱回収技術が積極的に取り入れられ、省エネ、省資源型産業発展の基礎が根付いた。

 北九州市の北橋健治市長は「アジア諸国には環境に配慮すると、経済が弱くなるとの思いこみがある。北九州モデルでそれを打破したい。」と語っている。同市のホームページには環境家計簿が用意されている。これは、市民が毎月の電気・ガスなどのエネルギー料金を打ちこむ事で、その月のCO2排出量が分かるようになっており、市民の環境意識の向上に役立ててもらうのがその目的である。この環境家計簿は次のURLでダウンロードできる。

環境家計簿URL: http://www.city.kitakyushu.lg.jp/kankyou/file_0368.html

 世界は今、ものすごい勢いでグリーン経済へと転換しつつある。しかし、日本は旧来のエネルギー依存型産業路線を変える気はなく、安倍政権になって環境軽視が露骨になった。昨年12月に政権を奪取するやいなや、京都議定書第二約束期間からの離脱にはじまり、2020年までにCO2を25%削減するとした鳩山首相の国際公約を反故にし、間もなくポーランドのワルシャワで始まる気候変動枠組み条約会議COP19には目標値は持たず手ぶらでの参加である。欧州各国に加え、米国、中国がかなりレベルの高い目標値を掲げるであろうと言われているCOP19では「ただ乗り日本」のそしりをまぬかれないだろう。最もそのようなニュースは日本では報道されることは無い。小ブログは、COP19の様子は可能な限りお伝えして行きたい。
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01 Nov 2013   12:51:51 pm
1千万分の1の地球
直径1.3メートルの地球で考えて見る――ブログ管理人の夢想

 僕たちは長年の間地球は十分に大きく、頑丈なものと思い、人類が何をやろうが地球はそれを受け止めてくれるくらいに考えてきたのではないだろうか。しかし、近年になって地球温暖化が叫ばれるようになり、やっと地球は僕たちが考えている程頑丈では無い事、地球も僕たちと同じように微妙なバランスで均衡を保っている事が分かってきた。

 僕は時々地球を一千万分の一にしてイメージして見る。すると地球の直径は約1.3メートルになる。小学校の運動会の大玉転がしの大玉より少し小さい大きさでイメージがしやすくなる。この直径では例えば世界一のエベレスト山はどのくらいの高さになるか? 答えは、0.8mmである。世界で一番深い海溝の深さは1mmである。なんと平らなのかと驚く。海の平均深度は3800mであるので、0.3mmとなる。つまり海は大玉の表面が濡れている程度なのである。

 1千万分の一の太陽は直径14mで4階建てのビル位の高さがあるので、やはり大きい。そしてその四階建て程ある灼熱の玉は1500mのかなたにあるが、そこから送られてくる光のエネルギーは強烈で、人類が必要とするエネルギー1年分をわずか一時間で送って来ている。

 そう考えると海の水が強力な太陽光に当るとひとたまりも無く蒸発してしまいそうなものであるが、そうならないのは、回りが大気と言う保護をする気体で包まれているからである。地球の引力により、窒素を主たる成分とする気体が約10cmの厚みで包んでいるのである。400km上空を回っている国際宇宙ステーションは4cmの高さである。ちなみに僕らが乗って旅行をするジェット機は1mmの高さを飛んでいると言うか、ダニが這うようなものである。1.8mの人間は0.18ミクロンなので電子顕微鏡でしか見る事はできない。

 この大気圏を入れても約1.5mの直径のボールに強力な太陽光が降り注ぎ、海の水が蒸発して大気中に蒸気となって放出され、それが冷やされて雨になると言うサイクルが起きているのが僕たちが住む地球の営みである。そう考えると、地球の平均気温である15度Cが1度C上がる事がどんなに意味を持つか少しはイメージし易くなるのでは無いだろうか?
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28 Oct 2013   12:48:13 pm
半導体政策の失敗
半導体政策の失敗、原発政策の失敗、いずれも認めようとしない日本

 ウォールストリートジャーナル2013-10-25によると、韓国のサムスン(Samsung)電子の2013年、第3四半期の経常利益は前年同期に比べて25.6%増の8兆2400億ウォン(約7300億円)と史上最高益で、この7四半期連続で経常利益を増やし続けている。

 世界のスマートフォン市場では、アップルとサムスンのビッグ2の独壇場で、続く中国のスマホメーカーは巨大な2社の間で苦戦を強いられている。また、液晶TV市場では、サムスンと同じ韓国のLGが市場を席巻している。かつてのエレクトロニクス産業の雄であった日本の姿はそこには見えない。

 日本の政府も半導体メーカーも経済界もこの日本の半導体の凋落を調査し、その責任を糾弾する気は無いようである。日本のマスメディアは、韓国の安値攻勢に日本は負けたと報道し、国民はそれを真に受けているが、事実はそうではない。アメリカのウォールマートなどの巨大スーパーの家電売り場の一番良い場所に展示されているのは、サムスンやLGの50型以上のスマートTVでその価格は4000ドル(約40万円)以上である。日本製はと言うと通路に段ボールに梱包したままで、42型で500ドル以下のプライスタグが付いている。要するに安もののたたき売り商品が日本製である。日本の量販店であるヤマダ電機やヨドバシでも韓国製は技術でも価格でも日本製より上だと言っている。

 この実態を日本のマスコミは報道しようとしない。決して韓国製の安値に負けているのでは無い。デザイン、機能、性能ではっきりと負けている。海外の携帯電話ショップのウインドウに日本製のスマホは並んでいないし、ましてやガラパゴス携帯は海外では皆無である。今度は高精度画面の4KTVが今年の目玉と業界は宣伝しているが、4KTVで見れるコンテンツはまだ無いのに、売れると思っているところが凄い。

 この原因は、日本の半導体政策の失敗によるものである。1980年代当時の通産省機情局を中心として、産総研などが立てたシナリオ「メモリーは産業の米である」の下、日本の半導体メーカーは、大容量メモリーを如何に安価に提供するかにしのぎを削った。各半導体メーカーの研究所の研究テーマも微細加工技術いわゆるナノテクに注力された。メモリーの研究には巨額の補助金が出されたので、各社の研究所はメモリーだけを研究していた、その結果が今現れているのである。

 半導体工場では病院の無菌室とは較べものにならない高度なクリーン度が要求される為に、その為の空気清浄システムが巨大になる。また、微細加工を行う工場は振動を嫌う為に基礎を地下深く掘って巨大な人口岩盤を作った上に建てられる。巨大土木工事である。その為半導体工場は数千億円規模の投資となる。消費電力は数十万世帯分の電力を消費する。半導体産業は、エネルギー依存産業の典型である。すべからくエネルギー依存度の高い産業には持続可能性が無い。役所主導で半導体は失敗した。原発政策も同じである。どちらにも反省が無いので、今後も又失敗が続くのだろう。
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24 Oct 2013   12:28:46 pm
シュワルナゼ演説
世界に、環境問題こそが真のアジェンダであると示した1988年の名演説

 時代と言う舞台装置がぐるりと回って変わる時がある。その年を境目に世界が大きく変わった、1988年(平成元年)はそんな年であった。1988年6月にモスクワでゴルバチョフ書記長とレーガン大統領が中規模弾道ミサイルの削減を行うINF条約に署名をした。これを機に東西の緊張は一気に緩和され東西冷戦構造の終焉を迎え、人類は核の脅威から解放された。この後、1989年ベルリンの壁の崩壊に続き、1991年にはソ連邦が消滅することになった。

 1988年9月27日に国連総会において、ソ連のシュワルナゼ外相は歴史に残る「地球環境演説」を行っている。以下はその一部である。

 「たぶん現在は、われわれの環境に対する脅威が確実に迫っている、初めての時であろう。この第二の戦線は、核と宇宙における脅威と同じ程度に、その緊急性を高めている。現在は、何らかの地球レベルのコントロールなしには、平和的・創造的といわれている人類の活動が、地上のすべての生活の基礎に対する地球次元での攻撃に転化してしまうことに、明確に気がついた初めての時であろう。現在は、通常の軍事手段を用いた防衛を基本とする国レベルや世界レベルの安全保障という伝統的な考え方が、いまや完全に過去のものとなり、早急にあらためられなくてはならない、という主張のなんたるかを、明確に理解するようになったはじめての時であろう。環境カタストロフの脅威という前にあっては、二極化したイデオロギー的世界という対立図式は、却下される。生命圏(Biosphere)には、政治ブロック・同盟・体制という区切りなど一切存在しない。すべての人が、同じ気象体系を共有しており、誰一人として環境防衛という自分だけの孤立した地位に立てるわけではない。人口の第二の自然、つまり技術圏(Technosphere)は、きわめて脆弱なものであることがはっきりした。(これは1986年に起きたチェルノブイリを指している――ブログ管理人)多くの場合、その破綻はたちまちのうちに国際的で地球レベルのものとなる……」(米本昌平著「地球環境とは何か」から引用)

 この演説ほど明確に、東西冷戦構造を終結して世界を挙げて地球環境問題に取り組むべき時が来た事を述べているものは無い。1945年から40年以上にわたって続いた東西冷戦に代わって国際政治が取り組むべきは環境問題であると訴えている。しかし、この演説から25年間、現実世界ではその後も通常の軍事手段を用いた戦争が続いた。産軍複合体が消費する巨額の軍事費が世界の経済をけん引すると言う図式が続いたが、それが持続可能では無い事にやっと気づいた米国がオバマ政権になり、方向転換がはじまった。

 しかし、安倍内閣は日本独自の冷戦構造を演出し、環境問題からことさら目をそらし、昔のカレンダーに掛け替えようとしている。原発建て替え等を持ち出しているのもそのあらわれである。核軍備には原発は必要な生産設備であるからだ。米国が近い将来中国を脅威と見なさなくなった時には、日本は核の傘から放り出される。それまでに核軍備と強力な産軍複合体を日本に作っておきたいと考えているのだろう。つまり、1988年に捨てられた戦略を拾い上げて復活させようとしている。

 1988年を時代の転換点とするなら、この年を環境元年とすれば今年は環境25年で、平成と同じで覚えやすい。実りの少なかった環境25年間であったが、ちょうど四半世紀を過ぎて、やっと米国と中国が陣列に加わり本格的な態勢が整ったといえよう。今は斜めを向いているカナダ、オーストラリア、ロシアはいずれ陣列に加わる事になると思う。最後まで残るのは北朝鮮と日本ということにならなければ良いが。
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23 Oct 2013   03:25:09 pm
環境問題入門書
脅威には「悪性の脅威」と「良性の脅威」がある――米本昌平著「地球環境問題とは何か」
ブログ管理人

 読書の秋である。

 秋の夜長に、ひとつ環境問題の本でも読むかと考えて居られる方に格好の一冊をご紹介する。

 米本昌平著「地球環境とは何か」岩波新書である。筆者は科学史家であるので、環境問題そのものを、歴史的な背景を考慮の上でほぼ時系列的に環境問題を記述しており、筆者自身は環境保護派でも環境懐疑派でも無い立場で書いている。

 環境問題と言うのは地球が温暖化し人類の未来が危ういと言う脅威を訴え、それに何か対処しなければならないとするものであるが、この本では脅威には悪性良性の二つが有ると説く。

 核の脅威は「悪性の脅威」で引用すると、「米ソ超大国の政治家、官僚、科学技術者がこぞって核戦争の脅威を確度の高いものと確信し、少なくともそう主張し、対応策に血道を上げた。こうして、人類史上空前の大規模な科学技術動員によって後世の人間に残されたのは、大量の核兵器と戦車だった」

 環境問題は「良性の脅威」でやはり引用すれば「もし世界中の科学技術者、官僚、政治家そして国民が、地球環境問題を深刻な脅威と受け止め、これに向けての技術開発と設備投資に非合理な程資源を投入したとする。そしてもし、来世紀になって地球温暖化の予測が誤りであることがわかったとしても、後世に残るものは、省エネルギーや公害防止に対するノウハウとその装置の山である。地球環境問題とは、将来の世代にとって、何と幸いな脅威であろう。」としている。

 さらに「歴史のうねりは、その時代その時代の多くの人々が確信し共有する価値や世界観によって作り出されて行く。そして長い時間をおいてみれば、どのような価値観や世界観が選びとられるのかについても根拠は、あいまいである場合が多い。」と、時代の流れは突き詰めるところは多くの人々が作りゆくものであるとしている。

アマゾンURLは次の通りである。http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%B1%B3%E6%9C%AC-%E6%98%8C%E5%B9%B3/dp/4004303311
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