ダンテの森    
25 Jun 2018   08:11:47 am
地球環境の救世主になるトランプ?
パリ協定離脱、海洋プラスチック憲章反対など地球環境問題には全く無関心を装うトランプ大統領が連発している貿易不均衡是正策は、地球環境にとって恵みの雨となるかも知れない。


 本年3月トランプ大統領は、中国、日本、ロシア、台湾からの鉄鋼・アルミに25%の関税を掛けたが、その時EU、カナダ、メキシコ、韓国は除外されていた。しかし、6月1日EU、カナダ、メキシコをその除外から外した。それに対抗しEUはバーボンウイスキー、ジーンズ、ハーレイダビッドソン、オレンジジュースなどに25〜50%の報復関税を掛けるとしている。

 それとは別に中国からの輸入製品500億ドル(5兆5千億円)に対し7月6日から25%の関税を掛けるとした。中国商務省はそれに対し直ちに対抗し米国がこれを実行した場合には340億ドル(3兆円)分の米国製品に25%の報復関税を掛けると応酬している。それに対し米国は中国が対抗措置に出た場合2000億ドル(22兆円)に対して制裁関税を掛けるとしている。

 現在IMFの予測では2018年の世界経済は3.9%の成長が予測されているが、この報復関税による世界経済戦争が勃発し世界経済の成長が阻害されることになり、2%の悪化が予想されるとの見方がある。

 これまでGDPとCO2排出量はずーっと正比例の関係で増加し続けてきた。昨今の再生可能エネルギーへの転換はその関係に終止符を打ち経済成長に必要なエネルギーを化石燃料から太陽光や風力などの再生可能エネルギーに置き換えるものであるが、その割合はまだまだ小さく未だに世界全体で見るとGDPとCO2排出量はほぼ比例の関係に有る。(図参照)

 もう一つトランプの功績が有る。それはアメリカのイラン核合意からの離脱である。これにより中東情勢は一気に不安定化し原油価格の値上がりが始まっている。これまでもそうであったが、原油価格と原油の消費量は反比例の関係に有り、原油価格が上がると消費は下がる。これもCO2排出量を下げる方向に働く。

 トランプ大統領は地球環境政策など糞くらえとと思っているのかも知れないが彼の打つ手は全て地球環境を保護するCO2削減の方向に動いているようである。ノーベル平和賞と共に環境のノーベル賞と言われているブルーリボン賞や日本国際賞の候補にしてはいかがであろうか。ルーブルの絵画になるのも現実となるかも知れない。
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31 May 2018   03:15:11 pm
Oceans’18Kobeを訪ねて。
5月29日〜31日までの3日間、神戸市のポートアイランドの神戸コンベンションセンターでOceans’18Kobeと題する海洋先端技術を披露し議論する国際会議が開催された。これはOTO’18 / OCEANS’18 MTS / IEEE Kobe / Techno-Ocean2018 と言う4つの学会が共同で開催したもので、初日の29日に参加してきた。ブログ管理人



 このイベントの事務局の一つとなっている海洋物理学会の監事をされているタキオニッシュ・ホールディング株式会社の小梨さんのご招待での参加となった。神戸ポートアイランドの国際展示場、神戸コンベンションセンターを訪れるのは久しぶりの事であった。新幹線で小田原から新大阪に、そしてJRで三ノ宮にそこからはポートライナーで10分ほどである。市民広場の駅を降りて会場に向かうと小梨さんと(一社)再生エネルギー支援機構の横田代表が入り口で迎えてくださった。お二人とも私が所属する(一社)環境未来研究会のメンバーである。

 IEEEの国際会議の方はさておき、併設の展示会場に入った。入口には選考で学会発表には至らなかったが優秀な研究がポスターセッションを掲示されており、その前で発表者と参加者が熱心にディスカッションをしている。今回の論文発表の選考にも加わられた小梨さんによると、2000以上の論文の応募が有り選考には大変に苦労をしたとのことである。その4割は中国からであると言うので驚いたが、実際ポスターセッションの6割は中国勢で占められていたと思う。他に目立ったのは韓国で、欧州、アメリカと続き日本は残念ながら余り目立たない。


 会場内には100社以上が展示をしていた。一番目を引くのは自立型無人潜水機(AUV)である。その次は水中グライダーと呼ばれる翼を持ち深海から海面に浮きあがる時に海流に乗る事で何千キロもエネルギーを使わずに航行しながら計測を行うことができる探査機である。次に多いのはプロファイラーを呼ばれる座標上の一点において海面から深海までの縦方向に一定間隔で計測を行うものである。このプロファイラーをGPSにより一定間隔に水平移動し沈み又浮きすることで細かい網の目のデータが集める事ができ、大洋を3次元データで読み取ろうとするものである。

 これらの全ての技術が向いている方向は資源探査である。それはメタンハイドレートのような新たなエネルギー源となる化石燃料であり、レアメタルであり、ひいては新しい食料としての深海生物の探査である。地上から採掘が可能な化石燃料の開発に飽き足らず、地球の2/3を覆う海洋から次世代のエネルギー源やレアアースや食料を得ようとの熱気が感じられた。いずれの国でも新しい資源の開発には研究予算が付きやすいと言うのも資源探査をテーマにする大きな動機ではあろうと思われる。

 私は、いくつかのブースでこの探査機は海水中のCO2濃度は測れますかとか、マイクロプラスチックの分布は計測できますかと、聞いて見た。それに対しては殆どの場合予想をしていなかったようで戸惑いを取って見る事ができた。彼らにとって海洋は未知の資源の宝庫であり、CO2の吸収(廃棄)が行われている場所でも、プラスチックゴミの廃棄場所であり、我々が出す排熱の廃棄場所(水の熱量の吸収は大気の数千倍である)であると言う認識は持っていないように思えた。

その点私を今回、招待して下さった小梨さんが所属するタキオニッシュ・ホールディングは異なっており異色の存在であった。今回、発表した「江戸っ子2号」と言うプロファイラーは、海水のCO2濃度、ph値、酸素量を瞬時に計測し一旦数千メートルの深海まで到達した毎秒一回の計測しながら浮かび上がり計測値を一旦PC内に取り込み浮上した後はGPSデータと共に衛星通信でデータを送る。これによりCO2の分布図を作る事ができる。すでに2000mでの実証実験も終わり、今後は更に深海でのテストを重ねて行くことになっている。これまで人類は産業革命以来2兆トンのCO2を排出しその30%は海洋に吸収されたことが分かって居る。現在も海洋はCO2を吸収し続けているが、科学者はそれがいつの日か吸収から放出に切り替わる「ティッピングポイント」を迎えることを恐れている。それを我々に示してくれる、このプロファイラーが持つ使命は重大である。(弊プログ2016年11月1日参照)


 我々人類は本当に必要としているエネルギーや資源の5倍も浪費をしているのが現代の産業であり経済構造である。エネルギーも資源も現在の1/5の消費で現状の生活や食料生産、産業を動かすことは可能である。それには何も新たな技術の開発は必要なく、既存技術をシステマティックに組み合わせることで可能である。それは筆者の環境の師であるローマクラブ共同会長のヴァイツゼッカー博士の著書「ファクター5」に詳しい。

 いま海洋を調査するのであれば新たなエネルギー源や資源の探査を目的にするのでは無く、いかに海洋が人類の活動によりいかに傷つけられているのか、いかに海洋を現状より悪くしないで済むのか、を目標とするべきでは無いだろうか。それは、研究や調査に携わる一人ひとりが意識として持つべきことであろう。それが、科学者、技術者の良心と言うものではないだろうか。
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29 Dec 2017   03:49:22 pm
第三回国連環境総会
第三回国連環境総会(UNEA3)に参加して

 筆者が地球温暖化問題に真剣に取り組むようになったのは2010年3月にドイツの環境学者、エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー教授と出会い、彼の著作「ファクター5」を4人の仲間と一緒に翻訳する事になったところからであることはこのブログの読者ならとっくにご存知のことである。この本を翻訳したお蔭をもって現在は環境未来研究会、日本ペンクラブ、国連環境計画日本協会と言う三つの一般社団法人でボランティアの役員を務めさせて戴き、時々講演などをさせていただいている。

 国連環境総会と言う国連加盟193ヵ国が全て参加して地球環境の問題を討議する会議に出席してきたので、そこに至るまでの手続き、道中、会場、ホテル、会議の様子そしてホスト国ケニアとナイロビ市のことなどを書こうと思う。

 国連環境計画(UN Environment)の活動を日本国内で啓蒙し広めて行くことを目的に国連環境計画日本協会は2014年に設立された。これまでに国連環境計画フォーラムを2015年に第一回、2016年に第二回を東京青山の国連大学の大ホールで行った。第三回は2018年3月に開催予定である。その他、この会の顧問で元国連環境計画情報局長の平石尹彦さんによる連続勉強会は既に通算13回開催しており、述べ参加者数は優に200人を上回っている。ここでは、環境問題の基礎、歴史、国際機関の枠組み、国連環境計画の仕組みや活動について、氏の豊富な経験談を交えた生の話を聞く事ができる。又、年2〜3回発行する国連環境計画の広報誌Our Planetの日本語版発行などを行っている。筆者はこの協会の国際協力委員会と言う委員会の担当理事をさせて戴いている。

https://j-unep.jp

 第三回国連環境総会(UNEA3)は、加盟国193ヵ国のうち今回は160ヵ国の政府代表、関連国連機関、NGO、企業その他のステークホルダーの4600人が参加して国連環境計画本部があるケニア・ナイロビで開催された。今回筆者は初めての参加であるが、目についたのは中国からの参加者の多さだった。政府高官と思しきグループ、企業のグループなどはたいてい10人ほどのグループで動いているため特に目につくが、個人での参加者も多かった。特に学生さんを数多く見受けたが、政府の援助が有って参加していたのであろうか、筆者の目分量では少なく見ても500人は下らなかったと思う。その次に目についたのは、意外に多かった米国からの参加者である。NGO、企業、研究所、学校など幅広く多くの参加者が来ており、会場のあちこちでディスカッションをしている姿が目に付き、こちらも100人位は来ていたと思われる。トランプ政権の動向をよそに熱心に問題と取り組んでいる様子が見て取れ大変に心強い思いをすることができ、やはり米国では民主主義の成熟度が進んでいると感じた。それに引き換え不甲斐ないのは日本である。日本からの参加は外務省から3名、環境省から2名、学生さん2名、それにNGOから我々2名の合計9名の参加しか無かったことである。

 UNEA3では本会議の他にサイドイベントが数多く同時並行で開催されている。その中に「サステイナブル・イノベーションEXPO」と言うのがある。この会場となる大型テントには、世界から環境関連の41の企業やNGOなどが展示をしていたが、デンマーク政府とデンマーク企業がスポンサーをしている為に出展料は全て無料である。ここでも中国企業は多く出展しており、アフリカ企業への技術・資本参加も目についた。その他は欧州企業やNGOの展示もあった。ここでも残念なのは日本企業の影もNGOの姿も見えないことである。

 本会議で、日本政府として環境省から高橋地球環境審議官が声明を発表したが、その中で「日本は公害問題を克服した経験がある。それを生かして国際社会に貢献して行く。」とあったが、その声明とは裏腹に日本の姿は今回のUNEAを通してはみる事ができなかった。世界の有力メディアは殆ど目にしたが、日本メディアはついに見かける事は無かった。国内におけるUNEA3の報道も見かける事は無かったと聞いている。

 次回は、ホテルとナイロビの様子を書きたい。
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06 May 2017   11:57:37 am
トランプに消されるEnergy Star
誰でも見かけた事がある米国製の電化製品に着けられているエネルギースター
Energy Starマークは省エネを示すものだが、これがトランプ政権のやり玉に挙げられ、消えることになりそうである。
(2017年5月4日のエール360に投稿されたマーク・ガンサー氏の記事から)

 今から25年前の1992年、アメリカ製品と言うと何でもエネルギーをバカ食いするものとばかり思っていたところに、時のジョージ H. W. ブッシュ政権のもとで環境保護局(EPA)の肝いりでアメリカ産業界に導入された。青地に白色でEnergy Starと書かれたシールは、省エネルギーブームであった日本では、やっとアメリカも重い腰を上げたかと受け止めたものであった。現在、全米1万6千社がこのプログラムに名を連ね、省エネデザインと認定された製品にはエネルギースター・シールを貼って販売することができる。消費者は、このシールが貼られた製品を購入する事で電気代が節約できることになり、省エネされた分だけ電力消費が減り電気を作るためのCO2発生量が少なくなり、地球環境保護に役立つと言うプログラムであり、日本の環境省もEPAの呼びかけに応じて1995年から参加している。

 EPAはこのプログラムの為に年間67億円(ドル122円として)の予算を使っているが、EPAによると31%の省エネが達成され、年間980億円のエネルギー代金が節約されているとしている。このプログラムはあくまでも自主規制であって法的規制では無く、各企業は自主的に参加している。企業にとっては、この青いシールを貼る事で自社製品を差別化することができ、自社が社会貢献をしていることを示すと同時に、新たな顧客層の獲得を狙うことができる。導入から25年経ってすっかり定着したプログラムである。

 トランプ陣営が選挙戦でEPAがやっていることは国民から職場を奪っているとし、地球温暖化など糞くらえだとEPAを無くすとまで言い支持者の声援を得ている。エネルギースターのシールが貼られた高い製品を買う事ができるのは、富裕層であり、彼らが安い電気代で済ますことでそのしわ寄せはエネルギー効率の悪い安い製品や、古い製品を使っている貧困層に回っているとするのが、彼らの論理である。また、トランプ陣営は、本来地球温暖化そのものが科学者が作った想像の産物であるとしており、その存在すら認めておらずそんな事に予算を使うEPAは無駄以外の何物でもない。CO2をどんどん出す石炭火力発電所を復活させることで、米国の炭鉱が復活でき職場が復活できると言って支持を得ている。

 エネルギースターは全米45万の商業ビルにも広まっている。省エネ対策をした商業ビルにはエネルギースターの表示ができ、エネルギー代金を支払うテナントは少しでもランニングコストの安いビルを探すため、ビルオーナーは競って省エネ対策をしている。この商業ビルのエネルギースタープログラムは100%自主的とは言えなくなってきている。と、言うのはニューヨーク、シカゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコなど地方自治体の一部が義務付けしているところが出てきているからである。トランプ政権はこの地方自治体による規制も取り去ることにしている。因みにトランプの保有する15の超高層ビルは、エネルギースター評価基準を100とした場合その11のビルは50以下で、マンハッタンのメイフェアホテルビルに至っては1点しか取れない。これを見て分かるのはトランプ氏の環境嫌いは筋金入りであると言う事である。
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01 Apr 2017   07:46:41 pm
トランプ大統領の誤算
トランプ大統領が地球温暖化対策を見直す大統領に署名
ブログ管理人

 去る3月28日ドナルド・トランプ米大統領は、オバマ前政権が推進した地球温暖化対策を目的とした規制の見直しをして米国内の化石燃料産業の振興を目指す大統領令に署名した。

 この日初めて訪れたEPAで、ウエストバージニア州の炭鉱労働者の代表とスコット・プルイット環境保護局(EPA)長官が見守るなか大統領令に署名したトランプ氏は「わが政権は石炭産業に対する戦争を終わらせる。政府の介入をやめ、雇用を失わせる規制を撤廃するため、米国のエネルギーに対する制限を撤廃すると言う歴史的な一歩を踏み出した。」と述べた。

 昨年11月の大統領選でウエストバージニア州はヒラリー・クリントンの3倍以上の大差でトランプ氏を選んだ。その理由は政府の政策転換により同州の石炭産業を復活させると言う選挙キャンペーンが功を奏したからである。同州の炭鉱労働者達はこぞってトランプの選挙戦を応援した。

 しかし、同州の石炭産業の衰退はオバマ政権がはじまるずーっと以前から始まっていた。第二次大戦以前に活況を呈した炭鉱は大戦の終了と共に徐々に低迷を始めた。全米的には石炭の生産がまだ増加を続けていた1980年代にあっても同州の石炭生産量は減少を続けている。その主たる理由は採炭の方法の転換にある。ウエストバージニア州の炭鉱は地下炭鉱で地下深く鉱道を掘り進めて行く方法で採炭コストが高い。この頃ワイオミング州で始まった山の山頂から爆破して山を取り除き炭鉱を露出させて重機を使って大量に採炭する露天掘りが始まった為である。

 現在のウエストバージニア州の最大の産業はと言うと医療サービスであり州内の勤労者6人に1人は医療サービスに従事している。同州の平均年齢は高く人口の22%が健康保険サービスを受給しており全米平均の16.7%に較べても高水準である。非保険加入者率は2013年には14%であったが2015年には6%に減少しており大きくオバマケアの恩恵に浴しており、トランプ大統領が先に廃止しようとして自党である共和党からの賛同も得られず採決さえ行われなかったオバマケアの撤廃法案が若し通過していたとすれば同州の老人たちは最も大きな犠牲を強いられるところであった。

 今回のトランプの反地球温暖化対策の大統領令がいくばくかの炭鉱労働者を炭鉱に送り戻す事ができたとしても、同州の石炭は米国内での市場競争力が無い事から同州の石炭産業の復興にはつながらない。炭鉱の州と言うノスタルジーに訴えた選挙戦術に乗せられた選挙民たちは、これらの現実の数字には目を向ける事が無かった。トランプの選挙キャンペーンは全てセンチメンタリズムとノスタルジーに訴えるものが多く数値や科学的データは忌み嫌う傾向にある。居酒屋での政治論議は得てしてそんなものであるからだ。全米炭鉱労働者の数は75,000人に対し再生可能エネルギー従事者は600,000人であるが、トランプ氏にかかるとそんな数字は「嘘っぱちだ」と一蹴される。

 全米の火力発電所の中で旧式の石炭火力発電所は2015年までに約40GWが閉鎖されさらに40GWが閉鎖する予定になっている。新設予定であった20GWの石炭火力はキャンセルされ天然ガス火力発電に転換する事が決まっている。これは何も地球温暖化対策だけでなく発電所としての採算性の問題である。米国のAnnual Energy Outlook 2015によると石炭火力の発電コストは1MWh(メガワット時)あたり95〜150ドルである。

 一方再生可能エネルギーの価格は低下の一方である。陸上風力発電は1MWhあたり50〜70ドルである。最新の太陽光発電プロジェクトでの発電コストは1MWhあたり30ドル(2016年メキシコ)を割るところまで来ており、太陽光発電は今や最も安い電力供給源となった。発電所は営利事業であるので発電コストは安ければ安いほど良いに決まっており、これから新規の発電所を石炭火力にすると言う選択は今や考えられない。ちなみに原発は311の福島事故以来安全対策コストの急激な増加の為に建設コストと保守コストが高騰しており、最新のプロジェクトである英国ヒンクリー原発が2023年に稼働を開始する時には155ドル以上になると見積もられている。このように電力業界において再生可能エネルギーが最も安価なエネルギー源になるのは時間の問題で、世界はいやおうなくそちらの方向に進んでいる。

 ウエストバージニア州の選挙民は間もなくこの事実に気付き、前回の大統領選でセンチメントとノスタルジーに浮かされて間違った選択をしてしまった事を後悔することになるだろう。
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