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22 Mar 2012 09:59:34 am |
ファクター4とファクター5 |
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政策立案者はファクター5を読むべき
ファクター5では数々の実例を挙げ、80%の効率アップが可能であるのみならず既に何人かの先駆者たちが実行している事を報告している。
これらを実行する事で殆ど全ての分野で劇的な効率改善と省資源が可能であり、新しい経済社会の発展が有ると説明している。
実は、このメッセージは15年前にフォン・ヴァイツゼッカー教授は前著「ファクター4」で述べていた。ファクター4では50の実例で資源を4倍に使う方法を述べていた。
著作チームのAmory Lovinsは実際にリッター26kmの燃費のハイパーカーを作って走らせて見せた。チームはこれで世界中の自動車メーカーは低燃費車で競争を始めると期待を膨らませた。果たして結果はどうであったか?
アメリカの自動車産業は新しいカテゴリーSUVを作りだした。その代表格のハマーはこれまでの車の倍の燃料を消費したが、サブプライムローンで郊外に建てた建売住宅からの長距離通勤と言うライフスタイルにマッチしてSUVは一世を風靡してブームは世界へと広まった。
また、ファクター4が警鐘を鳴らしたフードマイレージも顧みられる事も無く増え続けた結果、運輸部門の燃料消費もこれまでにないほど増加した。結果として地球環境はこれまでにないほど悪化した。
一体、何が間違ったのか?
殆どの人は「何もまちがっていない」と答えるだろう。この間中国を牽引役に世界経済は成長を続け、それを市場は享受した。
経済が順調に進んでいる限り人々は環境問題には興味を示さない。企業は環境問題より売上と利益の増加に集中するものなのだ。
リーマンショックが起きた時、人々は又、持続可能性について考えるようになったが、経済が発展する時には環境対策が停止すると言う時間のロスを起こさせない仕掛けが必要である。奇跡の惑星地球にはもう時間が無いのだ。
環境問題は市場には任せてはおけない。ここにこそ国家の指導力が必要だし、国家の存在意義が有る。
ファクター5にはその解答が書かれている。政策立案者には是非読んでもらいたい。
ファクター5(英文)はAmazon.com等で購入できる。次はそのURL。
http://www.amazon.co.jp/Factor-Five-Transforming-Improvements-Productivity/dp/1844075915 |
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20 Mar 2012 09:03:38 am |
セメント産業の省エネ |
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エネルギー価格に影響される企業の省エネへのモチベーション
セメント産業は重工業の中でも鉄鋼と並んで環境負荷の大きな産業である。セメント産業だけで世界のGHG(地球温暖化ガス)排出量の5〜8%を排出している。2005年には18億トンのGHGを排出した。
図はセメント1トンを製造する為に排出されるGHGの量を地域別に表したものである。世界の平均は0.22トンのCO2換算の排出量である。
これを見て気付くのは、国の持つ技術レベルや文化レベルとGHG排出量は必ずしも一致しないと言う事で有る。アメリカは後発開発途上国が多いアフリカよりも悪い。
中国のように建設ラッシュが起きている国では、国全体のGHG排出量の25%がセメント産業から排出されている。先進国にあってもセメント産業はいまだに大口のGHG排出源であり、1990年に較べて2007年には34%も増加している。
日本は、ドライキルンしか使わず、予備ヒ―タで予熱するなどしてセメント生産の効率化を追求した事で3.1GJ/tonと言う高効率を達成している。日本はエネルギー源は100%輸入に頼っており、それに加えて多額の税金が燃料には課せられている事で、エネルギー価格レベルは世界最高水準である事から、日本のセメント産業は競争に勝つためにはエネルギー効率を上げる以外に方法は無かったのだ。
これを見てもファクター5でフォン・ヴァイツゼッカー教授が主張するエネルギー価格を人為的に高く誘導する事が省エネを推進する力となり得る事が分かる。
200年前の産業革命と同時に英国で発明されたポートランドセメントはライムストーンを高温で焼く製造法の為に膨大なエネルギーが必要である。これに対し、古代エジプト時代にはピラミッドの建設に、ローマ時代にはコロッセオ等の建築物に使われてきた4000年の歴史が有るジオポリマーセメントは製造にエネルギーを必要としない。これに代えればファクター10でも達成が可能である。
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16 Mar 2012 05:59:20 am |
車の省エネデザイン |
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革命的なデザインを行うのに必要な戦略
昨日に引き続き車の設計の話である。ファクター5が提案する設計戦略では、まず車体重量を安全性能を考慮した上で、最軽量な車体の設計を行うことから始める。
次に推進系であるが、軽くなった車体を動かすのに十分かつ最小・最軽量のパワートレインつまり、エンジン、クラッチ、変速機、プロペラシャフト、ディフェレンシャルギアの最小化設計を行う。
次にシャーシー設計は軽くなった車体と推進系を乗せるシャーシーの最小化を設計する。電装部門はここまで設計された全ての仕様を考慮に入れながら最小化・最軽量化を設計する。整備の為の設計と空力設計はそれぞれ最小化を目的に設計をする。
ロッキーマウンテン研究所はこの設計戦略を用いてハイパーカーの車重を52%軽減する事に成功している。
車体は低密度高張力のカーボンファイバーやケプラーと言った新素材を取り入れる事で安全性を保ちながら軽量化を行った。軽量化された車体を推進するには推進系の転がり摩擦係数が減る為に車体が軽くなった割合以上にエンジンの出力は小さくて済むと言うように掛け算で軽量化が進み大幅な軽量化が可能となる。
従来の設計方式は短期間で新デザインを行うのに適しているが、画期的な変革を行うには柔軟性に欠ける。この方式ではデザイン全体の時間は掛るが画期的な変革が可能である。
しかし、実際の自動車産業では、この設計変更に基づく生産設備の変更、冶工具の設計、生産管理体制の変更、品質管理設備と体制の変更など工場全体にわたる大幅な変更が生じる。
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15 Mar 2012 12:35:42 am |
乗用車の軽量化 |
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ドラスティックな軽量化は望めない現在の設計体制
GHG(地球温暖化ガス)排出の22%は運輸部門である。その内44%は乗用車が占めている。乗用車は今後中国、インド等の開発途上国で爆発的な増加が見込まれている為、2010年には世界で年間5千万台が生産されたが、2020年には7千2百万台が生産される事になる。これらの新車は大幅な軽量化、エンジンの小型化が図られなければならない。
従来の自動車の設計は図で示すように、車体設計、パワートレインと呼ばれる推進系、シャーシー、電装系、整備、流体力学がそれぞれ現有の技術に改善を重ね現時点で最高の効率を達成できる成果を持ち寄る形で行われている。
各部門が割り当てられた設計要素の開発に集中する事で専門化の効果を最大化するようにデザインされた分業化の製品開発と呼べる組織で設計し、パフォーマンスを最大化する方法である。
しかし、この方法では車重を大幅に軽量化すると言う目標を設定しても、各部門ごとに現有技術に基づいた改善の積み重ねを行っても他部門との擦り合わせを考えると従来の仕様から大きくかけ離れた設計は行えないので、革命的な改善は期待できない。
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14 Mar 2012 04:10:55 pm |
アメリカの自動車燃費 |
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ガソリン代の高騰でやっと燃費を気にするようになったアメリカ人
現在、自動車保有台数のトップはアメリカである。アメリカの燃費基準は図のように大変悪く日本とEUの半分を少し上回る程度である。
アメリカの自動車の燃費は、現在日本やEUで既に開発され実施されている燃費向上の為の対策を導入するだけで、開発コストをかけることなく25%の燃費向上が可能である。この対策の為に必要な車両価格のアップ分は、節約される燃料代の1年分足らずである。
現在、日本やEUの自動車メーカーが開発している車両の軽量化、小型化、低燃費エンジンは更に50%の低燃費化を可能にする。トヨタとホンダのHEV(ハイブリッド車)は既にこの目標数値を上回っている。
但し、日本車や欧州車はアメリカの都市部では受け入れられているが、地方では需要が異なる。(2011年10月27日を参照)ロッキーマウンテン研究所によるとアメリカで好まれるSUVをHEV化した場合の燃費の向上は70%が可能であり、その為の車両価格の上昇分は2年間程度の燃料代の節約分で回収できるとしている。
しかし、実際自動車のセールスをしている人の話を聞くと、やはり車両価格は購入者にとって購入決定の際の重要な条件となるとの事で、例え維持費が安くなる事が分かっていても高い車は不利であるとの事であった。やはり燃費向上分は環境税を燃料価格に反映させて、燃費の良い車を購入する消費者にインセンティブを与える「エコカー減税」が必要となる。オバマ大統領の古い車を買い替えると4500ドルが補助されるスクラップ・インセンティブは好評で数週間で予算を使い果たし、補正が組まれるほどであったが、やはり政府による環境保護の為の施策は有効である。
現在、アメリカではガソリン価格が4ドル/ガロンに近づくほど高騰しているのが幸いして大型車よりも中型、小型車の売れ行きが良くなっているのは良い事で有る。
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