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06 May 2012 06:24:58 am |
都市混雑課税(渋滞税) |
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実施した都市では市民の支持が得られている。
今日は、日本から原子力発電所からの電気が無くなった記念すべき日である。
2000年、コロンビアの首都ボゴタは市内の自動車数の増大にストップをかけた。ガソリン税は20%に上げられた。ラッシュアワーには40%の自動車は通行が禁止となった。ボゴタ市はノ―・カ―デ―を制定し、一年に一日は一切の個人所有の自動車の市内乗り入れを禁止した。この取り組みは世界の大都市から羨望のまなざしで見られている。ボゴタ市の自動車制限への挑戦パッケージは公共交通機関の利用を推進したした事で市内の渋滞が解消しただけで無く大きな効果があった。市内交通の平均速度は43%早くなり、通勤時間が29%短くなり、交通事故件数が28%減少した。ボゴタ市は更に強力な計画を進めており、2015年には毎日6時間は個人所有の自動車の市内乗り入れが禁止される。これは2000年に市民投票が実施され、市の再生を図る為に車の使用をやめ道路を歩行者と自転車にかえし公共交通機関を利用する事が、過半数の市民の支持により決定されたものである。
ボゴタに習って他の国でも混雑課税が導入されているが、その方法はまちまちである。アメリカでは市に入る境界にゲートを設けあらかじめ購入した電子式のパスが無ければゲートは開かない。但し、バス、タクシー、緊急車両と市内居住者には無料パスが支給されている。ミラノでは指定された省エネ性能の優れた車は市内乗り込みが許される。ノルウエ―では指定を受けた軽自動車には特別許可が与えられている。
最も注目すべきは2003年にロンドン市長が行った市内混雑地域の一部道路の封鎖である。その効果は交通量が21%減少した為に、粉塵と窒素酸化物が12%減り、地球温暖化ガス排出量が20%減った。公共交通機関は2006年と2007年だけで、160億円(1億2300万ポンド)の増収があった。この結果ロンドン市民から混雑課税に対する理解を得る事ができた。これを実施したKen Livingstoneは世界的に有名な名市長となった。彼は混雑課税を1日1000円から3200円に上げようとしたが、彼の後任者はその実施を見送っている。
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05 May 2012 06:03:11 am |
農業の省エネ |
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無駄なエネルギー消費が目立つ農業、きめ細かな管理が必要。
現代農業の環境負荷は18%のGHG(地球温暖化ガス)の排出と70%の水の消費である。現状の農業のエネルギー消費がこのまま推移すると、2030年には55億トンのGHGを排出する事になる。このGHG排出要因の80%は農業用水の確保に使われるエネルギーである。ファクター5では点滴灌漑と言う方法で農業を行う事でエネルギーは80%、農業用水は90%、化学肥料は95%が節約できると推奨している。(2011/9/19-9/20のブログ参照)。
しかし、それ以外にも農業が取り組める省エネ課題は数々あるようだ。
■灌漑システムの適正化
カンサス大学の調査によると、灌漑システムを適正な規模に調整して、設備の保全を適正に行うことだけで40%の省エネが可能であるとしている。
■加温システム
農業において加温はエネルギー消費の大きな部分を占めている。こまめなON/OFFや温室の保全など初歩的な対策のみで30%の消費の低減が可能である。温室の排気を一旦熱交換器に取り込み外気を導入する際にこの熱交換器により予熱して外気を取り込む熱リサイクルシステムを導入すると80%の省エネが可能である。
■収穫された穀物は加熱乾燥される場合が多い。家畜排せつ物等から取り出したバイオ燃料を熱源に使う事で外部からのエネルギー供給を受ける必要がなくなる。
■照明は農家のエネルギー消費の20%を占めている。光源をタングステンランプから蛍光灯やLEDに交換する事で80%の消費の低減ができる。
■建築物。築後数百年経た農家であっても外断熱等のリフォームをする事で数10%の省エネは容易に可能である。建て替えや新築の場合はパッシブハウス基準とする事で、80〜90%の省エネが達成できる。
■冷蔵。酪農家においては冷蔵に掛るエネルギーが大きい。冷凍設備が20年以上経過している場合はそれを最新の設備に交換するだけで50%以上も省エネが可能である。
■計画的耕作。施肥の時期、適正量、作付け体系、家畜糞尿の貯蔵と農地への投入の適正化などを行う事で化学肥料の使用量の最大85%の大幅削減が可能である。
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04 May 2012 06:07:52 am |
貨物輸送 |
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貨物輸送の新たな枠組みが必要
世界の貨物輸送はここ数十年で急激に増加している。世界で年率3.6〜5.9%で増加の一途をたどっている。今後の増加の推測は年率4%とされている。
WBCSD(持続可能な開発のための経済人会議、World Business Council for Sustainability)はこれを年率で2.3%以下に抑えるべきであると提唱しており、持続可能社会を模索する国々は貨物輸送の新たな枠組みが必要であるとしている。
トラック輸送は短距離輸送に限り、長距離輸送ターミナルから最終顧客までの配送のみとするべきで、長距離輸送は鉄道か船舶により輸送されるべきである。このシステムが実現することで輸送にかかるエネルギーを85%省エネする事が可能となる。
次の表は1トンの貨物を1キロメートル輸送するのに必要なエネルギー量をMJ(メガジュール)で表したもので、右端の列は排出されるGHG(地球温暖化ガス)をCO2換算のグラムで表している。
国により産業構造が異なるために運送の重要度が異なる。アメリカとオーストラリアでは運送の重要性は高く、日本や欧州では低い。ある単位GDPに含まれる輸送コストを比較すると国ごとの違いが分かる。
次のグラフはGDPに含まれる輸送コストをいくつかの代表的な国を取り上げ、その1973と2003年で比較したものである。30年間の間に船舶、鉄道、トラックの輸送の量的変化がわかる。前述したWBCSDの提言に反しアメリカとオーストラリアでは船舶輸送と鉄道が減少しトラック輸送が増加している。
残念ながら今のところいずれの国も貨物輸送の形態に手を付ける様子は伺えない。
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03 May 2012 11:50:16 am |
セメント産業の省エネ |
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セメント産業の多元的な環境対策
セメント産業は鉄鋼と並んで高エネルギー消費産業である。セメント産業が排出するGHG(地球温暖化ガス)は5〜8%と大きい。これはセメントを製造する為には石灰石を1400度の高温で焼結させるためにキルンと呼ばれる回転窯を1800度にも熱する必要が有る事と、この時石灰石が多量のCO2を放出する事に由来する。セメント1トンを製造すると0.8トンのCO2が排出される。セメント需要は中国、インド等で急激に伸びており2000年には世界で1.5Gt(ギガトン)であったが2020年には4Gtを上回ると推測されている。
IPCCの多元的なCO2低減アプローチによれば、現状のコンクリートのセメント、骨材、水の混合比を最適化する事で20%のセメント使用量を減らす事ができるとしている。IPCCの次の戦略は建築物の設計寿命の延長である。長寿命設計の建築物にする事でセメント使用量の総量を減らす事ができる。IPCCの次なる手はセメント製造プロセスの改善によるものである。1970年のオイルショック時に資源を持たない日本、ドイツのセメント産業は省エネを積極的に進めた結果、従来1トンのセメントを製造するのに5GJ(ギガジュール)の熱量を必要としていたものを2002年には3.1GJまで低減している。日本やドイツの技術を世界の他の国が習って導入すれば世界で40%の省エネが可能となる。特に爆発的に生産量が増えている中国、インドでの省エネが重要である。一般的には大型のセメント工場の方が省エネ効果を出しやすいとされているが、その為に輸送距離が増えると輸送によるCO2排出が増加する問題がある。
効果としては少ないが、代替エネルギー源を熱源に使うアプローチも有る。従来95%は化石燃料を熱源にしているが、古タイヤ、廃プラスチック等を熱源に利用する事が進められている。ブラジルでは森林を伐採して作った木炭を熱源にしているが、森林伐採による環境負荷の方が大きく推奨されない。
日本やドイツではセメント工場が高温処理ができる為にダイオキシンを発生しない安全なゴミ処理施設としての使い方も行われている。これはエネルギー使用量の低減には貢献していないが環境負荷を別の面から低減していると言える。
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02 May 2012 09:25:22 am |
持続可能社会の交通 |
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自動車社会からの脱却
GHG(地球温暖化ガス)の23%が交通機関から排出されており、その44%は自動車からであるので、自動車単独で10%のGHGを排出している。自動車は1970年には世界で2億台であったが、2007年には7億台となり2030年には15億台となると推測されているが、このままだと17%のGHGが自動車から排出される事になる。
オーストラリアのピーター・ニューマン(Peter Newman)は公共交通機関を都市計画に取り入れるTOD(Transit Oriented Design)で自動車密度を下げる試みをしている。TODでは放射状に都市が発展するように副都心が配置され、都心と副都心を公共交通機関が結び、さらに自転車道と歩道でショッピングセンターと公共交通機関をつなぐデザインになっている。
図は百万都市シドニーを例に作られている。青色で示された都心と副都心を結ぶ幹線は運転間隔を短くした高速大量輸送システムである。副都心から放射状に広がるのは、軽電鉄やバス路線である。通勤通学に自動車を使う事はこの都市計画には考慮されていない。このような都市での生活は交通への出費が減り、ガソリン代の上下を気にする事がなくなり、その上美しい空気が呼吸できる。
現存するアメリカとオーストラリアの都市はこれと正反対の思想で計画されており、自動車なしでは生活ができない都市が多い。自動車社会がコストを高くしているのは燃料代だけではない。呼吸器系の疾病の増加、交通事故による損失、交通渋滞による精神的ストレスの増加等はこれまで自動車社会のコストとして捉えられて来なかったが、アメリカの研究によると、1時間の自動車通勤は6%の体脂肪を増やすとされ、心臓疾患、脳卒中、糖尿病、ガン、うつ病が増加するとしている。
移動距離が5km以下は自転車による移動が有効であり、長距離移動は公共交通機関に置き換えられるべきである。
持続可能社会の交通は多くの経済的利点を持つ。少ない面積(高速道路より鉄道の方が占有面積が少ない)、企業は駐車場の確保の必要がなくなり、渋滞による経済損失が減り、公共交通機関は新たな職場も提供する。世界の国々は日本をモデルとしているようであるが、日本にもまだまだ改善の余地は有る。
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