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25 Aug 2012 07:34:01 am |
教育とメディアの役目 |
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環境問題について知らされていない消費者
オーストラリアの研究機関CSIROとシドニー大学の調査結果を読むまでも無く、多くの消費者はエコ・フットプリント(当ブログ2012年3月12日参照)については知らない。
これは、人類がなぜ持続可能な社会への道を選択しなければならなくなったかを、きちんと消費者に対して説明がされていないからと言える。
牛肉やチーズなどを作るのにどれだけの面積の耕地と、水資源と、エネルギーが使われたのか、更にそれを輸送し、スーパーマーケットに並ぶまでに使われるエネルギーはどれくらいなのかなどを、若年層に対して学校やメディアがどれくらい知らせる努力をしたかの問題である。
最近はディジタルカメラの普及で少なくなった使い捨てカメラや、今はエコカーにとって代わられたSUVや、今も炎天下に立つ自動販売機と言うような製品をそもそも作り出し、そして広く販売すると言う事自体が、倒錯した考え方であったと言う事を教えて行かねばならない。
反対に、健康志向から有機栽培農家や、産地直販市場が増えて来ているが、この100年前までは普通であったものが、どの位地球環境に優しいのかも消費者に知ってもらう必要がある。
自動車業界は2008年のリーマンショック以来高止まりを続ける燃料代の助けも有って、燃費が重要な販売要素になり、小型高性能エンジン搭載の小型車やハイブリッド車に消費者が指向している事に焦点を合わせている。
建設業界もレトロフィット(改築) によるグリーンビル化の市場が形成されつつあり、新築の建築物は次第にグリーンビル化が潮流となりつつある。
また、世界の多くの都市が、近距離交通機関の改革に取り組み始めている事も喜ばしい事である。
欧州、オーストラリア、日本、アメリカは、もっと積極的に持続可能性社会への改革を続けなくてはならない。何故なら、開発途上国や後発開発国はこれらをモデルにしているからである。
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Posted By : dantesforest |
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21 Aug 2012 06:01:51 am |
豊かさ≠GDP |
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豊かさをGDPであると思う習慣を変える
昨日のブログで書いたIPATの式は豊かさ(生活の快適度=Affluence)は一人当たりのGDPで示すが、確かにGDPとCO2は比例している。では、本当にGDPは豊かさと比例しているのだろうか。そろそろ豊かさはGDPとは関係が無いと言うことに気づく時がきている。GDPの増大は豊かさの増大にはならない事を知るべきである。GDPは売上の総合計であると言える。企業家は売り上げが下がる事は経済の縮小であり企業にとっては悪であるとする。
今年は猛暑であるが、7月の電力消費は昨年比で6.3%減で685億キロワット時で、特に家庭の消費は-12.4%の192億キロワット時で有ったと言う。これは好ましい事であるが、売上が6.3%下がる事は電力事業者にとっては悪である。
日本の水道水の品質は世界に誇れるものであるのに、ペットボトル入りの水が売れている。これを豊かさと呼ぶのであればやはりGDP=豊かさは正しいと言えよう。冷え過ぎたビルの冷房をエネルギーの無駄遣いと考えるか、豊かさと考えるのか、日本特有の炎天下に立つ飲料水の自動販売機を豊かさと考えるのか、多すぎる肉食、糖類、油脂を使った料理は健康を損なうだけでなく環境負荷も大きいが、これを豊かさと考えるのだろうか。これらはすべて同じ問題である。持続可能社会ではこれらを少なくして環境負荷(I)を減少させる必要がありGDPは下がるが、これが豊かさを失う事にはならない。
2002年のヨハネスブルグ会議では持続可能な消費がテーマに取り上げられた。国連環境計画(UNEP)はIPATの式を取り上げて「環境負荷(I)が減少する豊かさ(A)を目指す」と提唱した。
白熱電灯が非効率的である事はやっと常識になってきたが、真冬にスーパーの棚にならぶサクランボがハウス栽培でどれだけのエネルギーを消費した結果であるのか、あるいはチリから何万キロもジェット機で運ばれて来たものか、に思いを巡らす人はまだ少なく、中には豊かさを感じる人さえいることだろう。環境問題を知ること、知らせることは大変重要である。
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20 Aug 2012 05:58:01 am |
豊かさとGDPの関係 |
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右肩上がり経済の終焉を理解する時が来ている
政治家はどんな事が有ろうと経済は右肩上がりに発展し続けるようにする事が自分が選ばれた理由であると考えている。その為に新しい産業を興し職場を確保し、そこからの税収が国家の財政を好転させると考えている。
これまで経済発展を続けて来た事が地球の温暖化を加速してきた。つまり、持続可能な発展では無かったことになる。そもそも無限に経済発展が続くと考えること自身、持続可能性を無視した考えであることには気づき始めている。例え資源を5倍に使うと言うファクター5を全ての分野で達成したとしても、増大し続け2050年には90億人になる人類の経済発展をし続ける事は持続可能とは言えない。
昔の人達が持っていて現代人が忘れているものに「つつましさ」が有る。これは英語のサフィシエントにあたると思うが、効率を意味するエフィシエントと共にペアをなして持続可能性社会を作る為のキーワードになると思う。
経済界にも政治にも認められるサフィシエントを上手に表現したものが、1970年代にPaul EhrlichとJohn Holdrenにより提唱されている。 I = P × A × T IPATの式である。Iは環境負荷(Impact) 、Pは人口(Population)、Aは生活レベル(Affluence)で一人当たりのGDPで表し、Tは技術革新(Technology)を表している。 PとAは増大の一歩をたどって来ており環境負荷を増やし続けている。Tのみが技術革新によってIの環境負荷を少なくできる可能性をもつファクターである。
中国は有名な一人っ子政策でPの増大を最小化する事に成功した。中国は過去20年間に著しいAの増大を行った。中国政府は彼らがPを抑制した事でどれだけ環境保護に貢献したかを主張していたが、コペンハーゲン合意以降は少し変化が現れて来ている。インドにとっては参考にするべき政策である。
ファクター5では主にTについて提案をしているが、Aについても無限に増大し続けることはできないと主張している。しかし、Aを少なくする、つまり経済発展にブレーキをかけると言う政治家は居ない。経済を後退させると公約して当選する事はないからである。
Aを一人当たりのGDPで測る事をやめる時が来ている。GDPは必ずしも生活の快適性を表してはいないからである。大渋滞の高速道路で消費された燃料はGDPを押し上げるが、車に閉じ込められた家族は快適では無かったはずである。
生活の快適さ、豊かさとGDPとを切り離して考える時が来ている。
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10 Aug 2012 06:15:52 am |
長期の動的エコ税制 |
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投資家にも労働者にも利益をもたらす持続可能社会に向かって
先進工業国における労働生産性の向上は、全ての階層において多量の失業者が発生している現在、すでに最重要課題とは言えなくなっている。もちろんトップクラスの頭脳は世界中から求められており、その価値は天井知らずに上がっている。その一方で、普通の教育レベルを持った人も含め数百万人が職場を求め求職活動を余儀なくされている。
資源の効率化を単なる市場競争の為の要素とすり替えようとする事は職場の現象を招く可能性を含んでいる。このような場合、強い政治的リーダーシップで税制の改革により規制を行う必要が出てくる。省資源は必ず企業にとって有益であること、そして新たな職業訓練を伴わない職場の削減は引き合わない事を税制上の仕掛けで担保する必要がある。これがエコロジーに基づいた税制の改革である。
1970年代に起きたオイルショックでは期せずしてその実験が行われる事になった。高騰した原油価格は、単に新たな化石燃料を探索する事に投資するよりもエネルギーをいかに効率的に使うかに投資する方が有利で有る事を証明する結果となった。
図はエネルギーの重要度を示すものである。縦軸は100万ドル(7800万円)のGDPを達成する為に使われたエネルギーの総量を原油のトン数に換算したものである。原油価格が上昇した時期にエネルギーの重要度は下がっている事が示されており、まさにこれが期待されているグリーン経済への移行のパターンである。
「ファクター5」では数々の産業分野における80%もに達する革命的な省エネの実例を紹介しているが、これが新たな経済の波となる為の、爆発的なダイナミズムを得る為には、省資源は資本家にも労働者にも利益をもたらすと言う事が長期にわたり担保されるような税制上の仕組みを作る必要がある。
これが長期的でダイナミックなエコ税制改革である。
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08 Aug 2012 07:35:07 am |
農業の環境対策 |
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環境意識の低さを助長する農業補助金
農業が地球温暖化ガス(GHG)総排出量の18%を占めている。農業と言うと環境に最も優しい分野では無いかと考えがちであるが、この高いCO2排出量の殆どは農業用水を確保、輸送、貯水、処理、分配するときのエネルギー源が出すGHGによるものである。
農業の効率化や農地利用の再生可能エネルギー発電は他の産業に較べて進んでいない。世界各国で行われている自国の農業の保護政策の為の補助金が農業の資源効率化や再生可能エネルギーに向けられることはなく、これまで通り漫然と森林破壊につながる農地の開発、環境を破壊するほどの肥料や農薬の散布に使われているだけである。
さらに、農業に対する水道料金や電気料金も補助金により低く設定されている国が多い。安い電気料金と水道料金は、節電や節水への意欲をそぎ、無駄な消費が促進されている。
食糧の自給を重んじて支出される農業補助金が、農業分野の省エネ意識の低さを招いている。
図は、OECD国のうち特に極端な傾向を示す国の、産業別の水道料金を示している。環境保護を促進するような補助金制度を農業政策立案者は考えるべきである。
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