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19 Sep 2011 05:38:54 am |
農業の省エネ(1) |
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地下点滴灌漑は数万円から始める事ができる
温暖化ガス排出量の18%は農業から排出されておりその内80%は農業用水を作り送り灌漑するために使われている。
殆どの国では農業用水は90%が単純に用水路から取り込んでいるか、地上から散布されているだけである。8月19日にも少し触れたが、作物に合わせた方法で地下点滴灌漑をおこなう事で水は80%が節約できる。作物の地下茎のすぐ近くでホースの穴から点滴状に灌漑する、この方法を全面的に取り入れているのはキプロスだけである。それ以外はアメリカで4%、農業大国のインド、中国では1%程度しか行われていない。水の使用量が減るだけではなく収量も100%増収(倍の収穫)が可能である。それ以外にも次のような利点がある。
■高低差の多い地形の灌漑に適している。
■農薬添加量の精密な調整が可能で農薬量は最大95%節約が可能である。
■用水路が無いために農業機械の運転が容易になる。
■コンピュータ化が容易なために農場の自動化が進む。
点滴灌漑には多額の初期投資が必要と考えられているが、小規模農場用の簡易版は設備費用も小額ですむ。世界11億の農業従事者の95%は2ヘクタール以下の農場に属している事から殆どは簡易版で間に合うことになる。この程度であればバケツ、ビニールホース、チューブ、栓、フィルター等で作る事ができその初期投資は数万円程度であるが十分な効果を上げる事が実証されている。
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17 Sep 2011 05:48:57 am |
エネルギーと市場経済(1) |
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リーマンショックはエネルギー問題だった
ここでファクター5が2008年のリーマンショックへ到る道程の仮説を立てているのを紹介しよう。
エネルギー価格が低く抑えられた事は2つの結果を生んだ。ひとつはデトロイトがSUVと言うリッター5kmも走らないファンシーなトラックを作った事。2つ目は車に依る長距離通勤に依存する低価格の住宅地が郊外に作られ大都市のドーナッツ化現象が起きた事である。
1980年の初めの5年間で自動車用燃料の消費が飛躍的に伸びた。価格は2000年までガロン1ドル(1$=100円換算でリッター26円)前後が相場であった。しかしこれが2006年から2008年にかけて原油価格は4倍の1バレル140ドルを超えた。その原因を中国とインドの急激な需要の伸びとするが、それは半分の要因で他の半分は投機筋(証券市場)に依る石油への投資であった。
2007年の原油価格の高騰によるガソリン代の値上がり。
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長距離自動車通勤の減少
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郊外の新興住宅地の宅地価格の急激な下落
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低所得者相手のサブプライムローン(住宅金融)の破綻
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大手住宅金融(Fannie Mae, Freddie Mac, Countriwide等)の破綻
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ハイリスク金融商品を巧みに組み込んだ「優良証券」が下落しリーマンショックとなった。
これがリーマンショックはエネルギー問題であったとする仮説である。
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16 Sep 2011 05:08:18 am |
オフィスビル |
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ゼロエネ・スカイスクレーパー
中国政府は成長経済の中で一歩一歩低炭素社会へと踏み出している。中国広州は大気汚染の街との汚名返上にやっきである。昨年完成した珠江大厦はSkidmore Owings & Merril (SOM:アメリカ最大の設計事務所)の設計になる71階建て310mの超高層ビルであるが単に省エネに留まらず、世界一のゼロエネ・スカイスクレーパーとなるかも知れない。60%の省エネを達成し、更に再生可能エネルギーによりゼロエネを目指している。
高温高湿のこの地域の気候に適応した技術が取り入れられており、この地方の季節風の特徴を利用して南北面の外壁構造から起こされる上昇気流(ビル風)が2つの風力タービンを回し発電する。同時に敷き詰められた太陽電池パネルが発電する。
オフィスタワーのパッシブ送風システムは壁内に張り巡らされた冷却パイプの中を流れる水により冷やされた天井、壁により室内に起きる対流を使っている為最低限のエネルギーしか使わない。
暖められた空気は二重構造のガラス壁の中間を昇って空調設備階に集められる。そこで熱交換器により集熱されタービンを回し排気ファンを駆動した後、湿気を多く含んだ空気はビル外へ排出される。
壁の中で暖められた水はさらに加熱されビル内で使用される温水となる。
南北面は2重のガラス壁構造で、間にはブラインドが設置されビル内の調温と自然光を取り入れた調光システムをコンピュータにより制御している。東西面は3重構造のガラス壁でやはりコンピュータ制御ブラインドが設備されている。 |
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12 Sep 2011 05:49:44 am |
市場経済と政治 |
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実行しないための理由
現状を変えたくない時、政治は常に弱者にしわよせが行く事を理由にして改革をおくらせようとする。環境税を導入しようとすると、一人暮らしの年金生活の老人が暖房を使っても税金を払わなければならないのかと言う議論になる。もちろん最低の生活を行うのに必要なエネルギーには課税をせず、ある一定量を超えた分から累進的に課税するようなシステムする必要があるなど、細かく現状を分析して課税の方法を検討する必要がある。
市場経済と投資家達は環境問題を経済抑制要因と見る傾向がある。アメリカで行われた市場調査によると環境問題解決をすると自分の職場を奪われると思うかとの問いに33%の人が「そう思う」と答えたとある。しかし現実には年間100万人が失業するアメリカにあって環境問題解決の為に職場を失う人の数はおそらく3000人にも満たない。それどころか英国の楽観的な予想に依れば環境税の導入により、220万の新しい職場が創設されるとしている。いずれにしても、このような経済界の予想は注意深く受け止める必要がある。
ファクター5で述べられている多岐にわたる提案は全てエネルギー効率を上げる事にある。つまり生産性を上げることになる。図は1970年を1として1960年から1995年までのアメリカに於ける生産性と平均賃金の変化の関連を表したものである。いかに両者が精密に同じ割合で変化をしてきたかを示している。生産性が上がると収入も増えると言う例である。
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11 Sep 2011 09:58:06 am |
航空機運航の効率改善 |
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空の回廊を通る飛行機
昨日は航空機の機体やエンジンの改良による省エネについて述べたが、航空機の運航には多くの改善の余地がある。現在の商業航空は大空のなかに方角と高度により細かく決められた回廊を決めその回廊の中を航空機が飛んでいる。一つの回廊には一機の航空機しか飛ばないようにする事で空の安全が守られている。目的地に達するまでには何十と言う回廊を通って行く。それぞれの回廊は決められた管制塔が管理しており、航空機が別の回廊に移るには管制塔と無線交信を行って確認を取り合いながら行う。すでに一部の空港で実施されているCDA連続降下着陸がある。これは従来は階段状に行っていた着陸をスロープ状に行うものである。階段状に降下するには一段ごとに高度の維持を行う為に操縦士は何度もスロットルを調整する必要がある。その為に燃料が消費されている。CDAにする事で一回の着陸で0.5トンの燃料を節約できる。世界のトップ30の空港での発着回数の合計は2009年に約1500万回であったので、それだけで750万トンの燃料を節約できる事になる。GPSからの位置情報や、運航中の航空機からの位置、風向、風速、気象情報、をコンピュータで整理して各航空機のコンピュータに送り人間の会話による航空管制を行わずに、最短、最速の航路を飛行する「フリーフライト」と言う方法も開発中である。
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