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25 Oct 2011 02:04:00 pm |
再生可能エネルギー(3) |
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電力買取法によって守られる
9月5日には風力と太陽電池について述べ、9月5日には地熱発電について述べたが、これら再生可能エネルギーを増加させるキーとなるのが電力買取制度である。我が国においては2011年8月26日に国会に於いて可決された。この法案が閣議で可決されたのが3月11日であった事は因縁を感じる。
ドイツ連邦議会下院のヘルマン・シアー議員の強力な指導力により1999年に可決されたのが世界で初めての電力買取の法制化であった。この法律により、風力、バイオマス発電、小規模水力発電、太陽電池発電、地熱発電などで発電された電力が全て電力会社により法律で決められた固定価格で買い取られる。電力会社は20年間に渡り買い取る義務がある。この期間は再生可能エネルギー発電の初期投資を完全に償却するのに十分な期間である。定額で買い取られる為に事業者は効率を上げれば上げるだけ利益が出る事になる。2005年にはドイツでは全電力の10%が再生可能エネルギーとなった。そのうち70%がこの制度により買い取られている。残りの30%は従来の水力発電所である。ドイツ環境省によると2010年には5千200万トンのCO2排出を低減する事が出来たとしている。電力会社はこの制度の為に電気料金を3%値上げした。この制度の弱点は法律によってのみ守られていると言う事である。2003年にデンマークでは政権が変わり電力買取に反対であった新政権によりもう少しのところで一旦出来
あがったこの制度が崩壊寸前まで行ったと言う事実がある。図表は日本の買い取り制度の説明図である。(出典:資源エネルギー庁)詳細は資源エネルギー庁のホームページ
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/index.html
に詳しい。
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Posted By : dantesforest |
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24 Oct 2011 12:51:24 pm |
自動車(4) |
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重要な小型自動車の燃費のアップ
世界の地球温暖化ガス排出量の22%は交通であり、その65%が小型車から排出されている。この小型車にはSUV、ピックアップトラック、ミニバン、フルサイズバンが含まれる。米国ではこれらの小型車の占める燃料消費の割合は63%であり、英国では70%である。非OECD国の小型車は2005年には35%であったものが2030年には55%になる。中国とインドでの小型車の伸びは特に顕著で2005年には中国とインドの合計が2200万台であったものが2030年には中国で2億台、インドで1.1億台になると予想されている。(OECD調べ)
その為小型車のエネルギー効率(燃費)を上げる事は各自動車メーカーにとって大変重要な社会的課題でその為のR&D投資を惜しまず行ってもらいたい。
以前にも書いたが、自動車の消費するエネルギーの7/8は車輪を回す回転力になる以前に熱として失われてしまっており、タイヤを回す力になるのは残りの1/8のみである。それが更にタイヤと道路の摩擦熱とブレーキの熱となり最後に車を駆動しているのはわずか6%となってしまう。そのうち殆どは車体を動かすエネルギーであり本来の目的である人と荷物を動かしているエネルギーは1%となってしまう。
自動車の場合、如何に軽量化が大きなファクターであるかと言う事がわかる。
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Posted By : dantesforest |
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15 Oct 2011 01:04:53 pm |
大型トラック(1) |
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空気抵抗をいかに減らすか
交通は地球全体のエネルギー消費の22%を占め、その内16.2%を大型トラックが占めている。私は今アメリカ、テネシー州に出張に来ている。毎日ホテルから仕事先間を車でインターステートを片道30kmほど走っているが、こちらの大型トレーラーがフルサイズのコンテナを2本連結して驀進する様子は迫力万点である。自分の車のすぐ後ろにあのデカイのが迫ってくるとスティーブン・スピルバーグの「激突」を思い出してしまう。
大型トラックの省エネは何と言っても空気力学の世界である。長方形のコンテナーを引っぱるトレーラーは見るからに空力が悪そうである。空力に依るエネルギー損失はトラックの走行速度に対し2乗で増加する。この係数は時速80kmを越えると顕著になる。インターステートの制限速度は70mph = 114km/hであるので、空力の解決は極めて重要である。
トラックメーカーの努力により現在は1970年に較べて約40%の改善がなされている。まずトレーラー部の空力デザインにより改善の87%が達成されている。フルルーフデフレクターにより5〜10%、シャーシーデザインで1〜3%、角を丸めて空気抵抗を減らすことで2%、フロントガラスの角度改善あるいはカーブガラスの採用で1〜7%、スカート、ラジエータの形状で1〜4%、排気ダクト形状、ドアヒンジ、ドアノブ、サイドミラーで1〜2%、サイドミラーをTVカメラに置き換えると3〜4%の空力改善が可能である。トレーラとコンテナーの間をふさぐサイドパネルやコンテナの後部、天井に取り付ける事で空力を改善するパーツもある。
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11 Oct 2011 06:22:21 am |
建築(3) |
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居住空間の冷暖房
世界的にみて住居の冷暖房はエネルギー消費の中で大きな割合を占めている。EUでは27%、中国では31%、アメリカでは40%(いずれも2005年)である。
これらは、太陽光の受光を考慮したデザイン、外断熱の採用、二重ガラス窓の採用、天井構造、ドアなどの隙間の改善による気密性の向上などで最低でも30%の省エネが可能である。
従来の典型的な天井断熱のみの150平米の住宅では平均18.4kWの冷暖房の為のエネルギーを必要とする。外断熱、屋根断熱、コンクリートスラブの外断熱、気密性を時間当たり0.5回の空気交換に高めることにより5.7kWの冷暖房の為のエネルギーで済み70%の省エネが可能である。
夏季の早朝の気温が17℃を上回らない地域においては、早朝の冷気を取り込む事で上で述べた住宅では1日中エアコンを使う必要が無い。もっと暑い地域ではエアコンを太陽光パネル等の再生可能エネルギーで運転する事で温暖化ガスの排出はゼロに保つ事が可能である。
写真は英国、ウエスト・バークシャー、ニューバリーの文化遺産保護区にあった1560年建築の家屋が2007年12月に焼失したものを、この地方の建築様式をそのまま引き継いで、地元産のオーク材で建築されたコテージであるが、ゼロ・カーボンを達成している。 |
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10 Oct 2011 11:41:49 am |
住宅(2) |
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持続可能型社会実験コミュニティー
英国が2016年以降に建築される建築物は全てゼロ・カーボン(無炭素)とすると決めた事は昨日書いたが、英国ベッディントンのゼロ・エネルギー・デベロップメント( Beddington Zero Energy Development, BedZED )はそれをいち早く実行している。
その基本的な考え方は「もし住宅で使われるエネルギーが全て再生可能エネルギーでまかなえるとするならば、快適な生活を制約なく送ることが出来るはずである。」と言うものである。
住宅とコミュニティーの基本設計により始めからエネルギー消費が60〜80%少なくなっていれば、残りを再生可能エネルギーによって補う事はたやすく、快適生活に不自由を感じる事無く地球資源の公平な消費が行えるとしている。
BedZEDは2002年に開発されたコミュニティーで住宅の50%は分譲され、25%はタイムシェアリング、25%は公共住宅として賃貸されている。
ここへの入居者は、ここで生活するうちに自然と持続可能社会のライフスタイルへと変化して行くようになっている。
1.基本設計から暖房と給水の省エネ問題は解決されている為入居者はそれを意識することなく享受できる。
2.コミュニティー全体のデザインと提供されるサービスが自ずと自動車での移動よりも徒歩を選択するようなライフスタイルとなる。
3.コミュニティーには数々の自然に優しいライフスタイルへの設備、システム、グループ活動が用意されており、持続可能型社会を作っている。因みにこのコミュニティーでは居住者の20%が他の居住者の名前を知っている。
BedZEDのURL(英語のみ)
http://www.bioregional.com/what-we-do/our-work/bedzed/
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