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27 Dec 2011 06:34:42 am |
再生可能エネルギー |
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太陽光も風力も十分なエネルギー源となる
IPCC(地球温暖化に関する政府間パネル)は対策の第4番目の戦略として再生可能エネルギーをあげている。自国の政府からGHG(地球温暖化ガス)の削減目標を課せられた企業や団体は電力供給網からの電力供給量を減らすために、(1)省エネ、(2)燃料転換、(3)熱とエネルギーの回生を行って来たが、更なる削減を行うために再生可能エネルギーが次の戦略となる。ファクター5ではこの本の目的ではないので、再生可能エネルギーについて深く議論はしていない。
再生可能エネルギーは分散型のエネルギー供給減で、太陽光、風力、波力、潮力、地熱それに水素によるものがあげられる。また、これらを用いたコジェネも指す。これらは2002年以来原子力発電を抜き去り成長をし続ける市場である。この分野は過去30年間に市場の拡大に従い発電コストが下がり続けており、高騰している原油価格に較べ十分な競争力も付けてきている。
現在既にアメリカ、カリフォルニア州では総電力の1/4が、スウェーデンでは1/3が、ノルウェーでは1/2が再生可能エネルギーによって賄われている。デンマークでは2002年に風力発電が20%を超えた。最新の研究によれば80%まで再生可能エネルギーの割合を高める事が可能であるとされている。
再生可能エネルギーの不連続性が産業には適していないとの考え方がいまだに強いが実際には風力発電も太陽光発電も異なる地形に配置して適切に管理する事で殆ど途切れなく電力供給が可能な事が実証されている。
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Posted By : dantesforest |
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26 Dec 2011 05:54:42 am |
コ・ジェネレーション |
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工場の熱源を利用した発電所
たくさんの燃料を燃やして発電された電力は長い送電線を伝わって使用者に届けられる。使用者はその電力の多くを熱に変えて使う。
大規模な産業では熱源となるのはボイラーである。ボイラーは産業のエネルギーの20〜60%を担っている。ボイラーの熱効率は70〜80%が普通で、最高の状態に整備され調整されたボイラーの場合90%まで熱効率を高める事が可能である。
この工場熱源であるボイラーと発電機を組み合わせ、工場内で電気を発電するのがコ・ジェネレーションあるいはコジェネと言われている。
発電機は工場のボイラーと同じ場所にあるので長距離の送電によるロスは無い。
コジェネは工場内から出る排熱を細かく再生利用でき工場全体の熱効率のアップに貢献する。最近は燃料電池を使ったコジェネも増えて来ている。
コジェネ先進国はデンマークで2003年には52%をコジェネで発電している。コジェネの発電量のトップはアメリカで85GWを発電しているが国全体では10%に満たない。ドイツは2005年には13%であったが、政府は57%まで増やしたいとしている。
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Posted By : dantesforest |
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25 Dec 2011 05:34:11 am |
エネルギー変換効率 |
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1のエネルギーを使うと2のエネルギーが無駄になっている。
これを読むと、不思議に思う人が多いと思う。
国連開発計画(UNDP)の2005年の世界エネルギー・アセスメントによると、まずエネルギーを消費者が使える状態に加工する段階で26%が消え、消費者が目的を達する為にエネルギーを使う機器の中で37%が消えている。消えたエネルギーは全て低温〜中温の熱となって大気を暖めている。
2005年に地球全体で115億トンの原油換算のエネルギーが消費されたが、そのうち63%は消費者の役に立つことなく熱となって消えている。
この無駄となったエネルギーを回収して再び使う事ができれば地球の温暖化を遅らせるだけでなくGHG(地球温暖化ガス)の排出低減もできる。
捨てられている熱は、例えばセメント工場のキルン(回転焼結窯)、製鉄所の高炉や平炉にはじまり、パン屋のパン窯、レストランのオーブン、スーパーマーケットから出る熱、さらには各家庭の冷蔵庫の排熱や台所のコンロの熱まで数限りない。
電気は蒸気タービン、ガスタービン、ディーゼルエンジンなどで発電機を回して発電するが、発電プラントの効率は25%〜45%である。つまり75%〜55%は熱となって消えてしまう。
発電された電気は長い距離を送電線を伝わって送られてくるがその間に9%が熱になり消えている。
このように、1のエネルギーを使うと2のエネルギーが無駄になっていると言うのは決して大げさではない。
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24 Dec 2011 06:14:45 pm |
燃料転換 |
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燃えるのは化石燃料だけではない。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)はGHG(地球温暖化ガス)排出減少戦略の省エネに続く2つ目に燃料転換を上げている。
特定の工業分野では特定の化石燃料を必要としている分野もあるが、単に水蒸気を必要とする発電等他の燃えるもので置き換えられる分野では化石燃料以外の燃料に転換を進めるべきである。
天然ガス、バイオマス、廃油等多くの代替燃料候補が考えられ、これらは化石燃料よりもGHGが少なく原産地に偏りが無いので安定供給が可能で価格の安定も容易である。
製鉄所やセメント工場のように大量の熱源を必要とする産業では、古タイヤ、埋立地から出るメタンガス、工業用・食用廃油、廃溶剤、廃プラスティック等を使う研究が進められている。これらは元は化石燃料である場合が多いが、これらを燃料と使う事は新たな化石燃料を使わない為にGHGの削減になると考える事ができる。
日本で開発された、プラスティック廃材に一定の予備加工を加える事で製鉄のコークスの代わりに使う技術により日本の製鉄産業は年間0.6メガトンのCO2排出低減を達成している。この技術ははGHGの排出を低減させるだけでなくプラスティック廃材がゴミ焼却炉で燃やされる時に出す高熱が焼却炉を傷める為に殆どが埋め立処分され、埋め立て地不足の問題を起こしておりその解決にもなる画期的な技術である。
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21 Dec 2011 05:22:27 am |
ファクター5戦略(3) |
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(1)エネルギー効率改善の2
昨日書いたエネルギー効率の改善は主にOECD諸国(開発完了国)を対象にしたものであるが、エネルギー効率の改善は発展途上国にこそ有効な手段である。
マッキンゼイ・グローバル研究所によると、燃費の良い自動車を選び、エネルギー効率の良い電化製品を選び、断熱の良い建築物をつくり、高効率の照明を採用にすることで現在予測されているような2020年までの間、年率3.4 〜1.4%で増加するとされているエネルギー消費を半分にカットできるとしている。
発展途上国にとってエネルギー効率の大幅アップは燃料の輸入量を減らし、建築物の消費エネルギーを下げ、新たなエネルギーインフラの増加を抑える事ができるのみならず、低エネルギー国家が作られる事により将来のエネルギー危機へのリスクの低減が可能となる。
発展途上国の省エネは2020年には6000億ドルが可能であると見積もられている。省エネは最も安価な国づくりを可能にする戦略である。過去にOECD諸国が経験した公害問題はエネルギー問題と密接に関わっているので、公害問題のリスク低減にもなる。
例えば石油輸送の為のパイプライン一つを例に取って見ると、設計するあたりエンジニアは将来の需要の増加を見越したうえで設計するのでどうしてもオーバーサイズとなってしまう。直系の大きなパイプを使うので、当然バルブも大きくなり抵抗も増える、圧送するためのポンプもモーターも大きくなりロスも大きくなる。全て大きくなるためにエネルギー損失も大きくなる。将来も需要が増えないので最低のニーズに合わせた設計ができれば、高効率なパイプラインが設計できる。この事はあらゆる分野で起きる事でそれらの相乗効果で更に全体のエネルギー効率は良くなる。
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