ダンテの森    
04 Jan 2012   04:28:56 pm
持続可能社会のあり方
政治と文化の変革が必要

 地球環境は大変な危機に直面している。世界はこれを無視することはできない。持続的発展とは全ての国の変革を意味する。この処方箋を実現する為に、ぼくたちは現実社会で資源を5倍に使う事を行わなければならない。それには富裕な国にあっては今までよりゆっくりとした生活を送る事を学んでもらいたい。

次の2つの事は世界の何処を問わず通用する事実である。

(1) 消費者は適正な価格のものを購入する。
(2) 生産者は利益を得るために生産する。
この2つは正論である。持続可能社会にあってもこれらは尊重されるべきであり、次の様に変わるべきである。

■資源の生産性をこれまでになかった程高くすることは生産者により多い利益をもたらす。
■資源を節約する製品やサービスは使い捨て型のものより消費者にとってより価値が有る。
■生活を支援するのに必要な製品やサービスで自然資源を消費するものはより高い価格となる。

 従来の環境政策は持続可能社会の次元には関与してきていないが、これこそ変革されて行かなければならない。

 ファクター5では政治と文化の次元にも論及している。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
03 Jan 2012   03:31:14 pm
持続可能社会へのシナリオ
ヴァイツゼッカー教授のファクター5

 ヴァイツゼッカー教授の「ファクター5」は一部と二部に分かれている。第一部では省エネの具体的な実現の方法が述べられており、個々の具体例はこのブログで毎回紹介している通りである。

 その多くは単に実現可能であるだけでなく実際に成果を上げている。それらの実例を証明するために数値や図式を使って説明しどうしても専門的になってしまっている。前著「ファクター4」が資源を4倍に活用する改善方法を数値を使って証明していたが「ファクター5」の第一部もそのスタイルが踏襲したものになっている。

 「ファクター5」の第二部では省エネを進める為に現存している考え方や政策の例を挙げて、省エネを効果的に実施するには法的な規制や政治的な力を抜きには難しいことを述べている。また、過去の例を挙げて省エネは成功しても、かえって需要の増加を招き、その結果エネルギーの消費は以前より増えてしまう「エコ・リバウンド」について述べている。エネルギー消費の増加は人口の増加や今よりも更に快適な生活を追い求めるライフスタイルにより起きていることにも言及している。更に、改善可能な方法があるのに拘わらず既得権益を守るために現状維持が行われている現実世界の問題にも触れている。

 読者の皆さまから内容が難解であるとの御意見を頂戴しているので、できるだけ簡単な表現にするように心がけますので、ご愛読のほどよろしくお願い致します。また、皆様からのコメントもお待ち致しております。


本書はアマゾンで購入できます。
http://www.amazon.co.jp/dp/1844075915
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
02 Jan 2012   07:11:17 am
省資源リバウンド
省資源―低価格―需要の増大―資源不足の連鎖

 これまで省エネのリバウンドについて述べて来たが、他の資源でも同じ事が起きる。

■米国の乾燥地帯に於ける水資源利用の効率アップについてはファクター4で紹介したが、効率向上によってより多くの土地が利用可能となった為にそれまで価値の無かった乾燥地帯の土地に買い手が付き、開発が進められた為に更に水資源が必要となるリバウンド現象が起きた。

■従来通信の伝達には銅線が使われていたが、グラスファイバーに依る光通信が開発された事で銅の需要は著しく減少し銅価格は大幅安となった。値下がりした銅は開発途上国での新たな銅需要を呼び起こした為に銅需要のリバウンドが起きている。

■農地使用の効率改善は1950年代から盛んに行われた結果EUにあっては農産物が過剰生産となった為に休耕促進の為に補助金が支払われるようになった。人口の増加、食肉の消費増加、農地の宅地化、バイオマス燃料の栽培等に依り土地が不足し、食糧危機を招く程のリバウンドが起きている。

■初期の携帯可能電話は1台数キロの重量が有り、価格は数十万もした為その使用者は警察とか大企業の役員などに限られていた。これが25年後の現在は数10グラムの軽さとポケットに入る大きさとなり使用される資源の量は1/100以下となった。しかし、小さく、軽く、何よりも安くなった事で一般に使われるようになり市場規模が数10万倍となった。その為に現在携帯電話に使用される資源の量は25年前に較べ1000倍となった。これも典型的なリバウンド効果である。(写真はNTTのショルダー電話)

 このように省資源の為の開発が成功すると、必ずリバウンドが起きている。これからはリバウンド対策も考慮した省エネや省資源の開発を行う必要がある。


カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
30 Dec 2011   05:41:01 pm
省エネ・リバウンド
自動車に見る省エネの対策の歴史

 今年も後2日となった。皆様はもう正月への準備は万端整えられたと思う。お正月はダイエットをしているぼくには最も気をつけなければならない時である。ダイエットにはリバウンドが付きものであるが、省エネの世界も同じである。

 最も有名なリバウンドは1975年米国議会で制定されたCAFE(燃料消費基準)である。この基準はそれまで7.6km/ℓであった乗用車の燃費を11.4km/ℓを目標に改善すると言うものであったが、結果的にはこの目標達成には20年もの歳月を要した。
1986年にガソリン価格が下がり自動車の使用率が1990年代まで伸び続けた結果CAFEの基準からは遠く離れてしまった。

 その典型的な例がSUV(Sports Utility Vehicle)である。自動車業界はCAFEが乗用車を対象としていた事に目を付け、高級乗用車の快適さを備えた4輪駆動トラック、SUVと言う新しいカテゴリーを創出した。

 当時のロナルド・レーガン政権(1981〜1989)は当時世界のすう勢であったガソリン税を認めないばかりか、SUVに対して税の優遇まで行った。この為、簡単に誰にでも借りられるサブプライムローンによって大量に販売された郊外の建売住宅に住みSUVを何10キロも走らせて仕事に通うライフスタイルがブームを呼び、アメリカ経済は最高潮となる。これに伴いアメリカのガソリン使用量とCO2排出も最高となる。

 この後2000年に入ってガソリン価格が高騰し、郊外からの遠距離通勤は魅力が失せ、郊外の新興住宅地の価格が下がりサブプライムローンが破綻し、それを金融商品としていた市場が下落してリーマンブラザーズの倒産とつながった。

 現在のオバマ政権は2016年までに14.4km/ℓ、2025年までに23km/ℓの燃費を達成すると目標を発表している。燃費の優れた車には連邦環境保護局が発行するEPAステッカーが車に貼られる。

 来年の大統領選挙でオバマが敗退するとこれも変わる事になるかも知れないが、私たちの奇跡の星は1日の余裕も持っていない。

 写真のようなトラックがアメリカでは今でも最も人気が有る。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
29 Dec 2011   09:57:02 pm
海外の省エネ家電
英国のエコケットル

 お正月をすっきりした頭(外見だけでも)迎える為に行った床屋さんのマスターは当ブログの読者である。ブログの内容がだんだん難解になって来て理解し難いとのお話を戴いた。

 ぼくの表現力の不足の為と反省した。今日は身近なテーマを取り上げる。海外ではどんな省エネ家電が有るのかを紹介する。

 英国のDEFRA(環境・食糧・農業部)はケットル(ヤカン)は考えられているよりも多くのエネルギーを消費しており、もし全ての人がお茶を飲む為にお湯を沸かす時にケットル一杯ではなく、コップ一杯分の水を沸かすようにするだけで英国全土の街灯を点けるだけのエネルギーを節約できるとお茶好きな英国国民に訴えている。

 それに応えるように市場には最新の省エネケットルが出て来ており、それらは主に次の3つの機能を強調した製品である。エコケットルと呼ばれ省エネ性能は30%以上である。

1. 簡単な操作で必要なカップ数分の水を沸かす事ができる。
2. 保温構造や魔法瓶構造で保温性能を向上させている。
3. 温度表示を付ける事で無駄な再沸騰を防止する。

 このような身近な家電の改良は国民の省エネ意識の向上にも役立っている。
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