ダンテの森    
12 Feb 2012   09:21:05 pm
経済界の省エネ活動
出だしは良かったが尻すぼみの日本経団連

 持続可能な開発の為の世界経済会議(WBCSD World Business Council for Sustainable Development)と言う会議がある。これは1972年にローマクラブが出した報告書「成長への限界」を受けて1990年に世界27ヶ国の経済人のトップ達48名、内日本からは7名が集まり、環境問題を産業をリードする企業としてどう取り組むかを話し合い作られたものである。

 特に建築物が排出するGHG(地球温暖化ガス)が40%有る事に注目しこの低減を目指す省エネビルプロジェクト(EEB Energy Efficient Buildings)はゼロ・ネット・エネルギーを目指すとし、ブラジル、中国、欧州、インド、日本、米国の国々のさまざまな産業の建築に関わる専門家達に連携を求めることで建築の省エネを追求すると言う試みである。2007年現在35カ国200社のメンバーで構成されている。

 各国にはBCSDの国内会議体が作られ、トップ企業が名を連ねている。設立時には花々しく7名もの企業のトップを会議に送り出した日本だが残念ながらいまだに国内会議体は無く、WBCSDのリストには日本経団連の名前が載せられ、「2003年加盟、早急に国内産業の環境問題に取り組むコンセンサスを取りまとめたい」としている。今現在、経団連内で合意は得られて居ない模様だ。

 日本と対照的なのはお隣の韓国で2001年に加盟し、既に国内有力企業が名を連ねて、活動目標、ロードマップも有り具体的な活動を活発に行っている。

 アメリカでもUSBCSDは活発に活動しており、2月10日にはバトンルージュで水資源のシナジーについての会議が開催され、この地域の水質、水量、水害を総合的に考慮した省エネについて議論された。この地域は2009年にハリケーンカテリーナで被害を受けた地域でありまだ復興中であるが、企業のイニシアティブで復興計画に省エネが取り入れられる事は大変意義深いと思う。写真は会議が開かれたニューオリンズ。

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08 Feb 2012   12:54:23 pm
農業の省エネ
30%は正しい情報の伝達と教育で直ちに低減可能

 農業分野はGHG(地球温暖化ガス)の18%と水消費の70%の責任を背負っている。

 農業が、地球環境の悪化による影響を多大に受ける事は、その農業が大きな影響を与える要因になっている事は皮肉である。2006年のFAO(国連食糧農業機関)の発表によると農業が排出するGHGは18%で運送の13.5%を大きく上回る。

 畜産―肉牛、養豚、養鶏、酪農は高度に機械化されており、これらの飼育過程の一定の期間に於いて、暖房、冷房、照明、換気、間接的では有るが飼料の為の肥料等に多量のエネルギーを消費する。

 英国のカーボン・トラストの報告によると、農業分野では多くの場合エネルギーの無駄遣いが多く、照明、暖房、冷房、加熱、冷蔵、換気、空気循環等が非効率的に使われている例が多く指摘されている。例えば、アメリカの農業分野でのエネルギー効率は1978年には以前の倍の効率になったとしているが、収穫量をエネルギー量に変換すると、その10倍の化石燃料が消費されている。中国とインドではその約80%の化石燃料が消費されており、インドでは過去30年にエネルギー消費は6倍になっており、中国では過去30年間に農業のエネルギー消費は2.5倍になっている。

 農業分野におけるエネルギー消費は農業者が正しく情報を理解するだけで直ちに30%のエネルギー消費が低減できる。農業従事者に対する情報伝達方法と教育が緊急課題である。
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06 Feb 2012   06:34:09 am
マネーと原油価格
原油へのマネーの投資がリーマンショックの原因であった

 原油の価格が上昇すると、石油鉱脈の探索技術が強化され新たな石油鉱脈が開発されていった。そして同時に国家、企業、個人において省エネの動きが見られた。これは2度の世界大戦直後と、1970年代と2000年からの原油価格の高騰の頃に見られた。

 1970年の第一次オイルショックで学習した省エネはその後15年間にわたり産業経済の安定化のキーファクターとして寄与した。

 1998年に1バレル9ドルであった原油価格は2000年には35ドルを超えその後100ドルに値上がりを続けているが、その理由は中国とインドの需要増加によるものである。

 2005〜2008年の原油価格の異常な上昇は原油市場の通常の価格変動では無く、機関投資家による投機の為の値上がりであった。投資先を原油市場に見出したマネーは彼らにしてみれば僅か1%程を原油市場に振りあてただけであったが、原油価格は大きく釣り上った。当時、ある投資家は原油の値上がりは更に続き1バレル150ドルも夢ではないと語っていた。

 しかし、マネーによる原油価格の吊り上げは、アメリカのガソリン価格を3倍にした。サブプライムローンで郊外に住宅を買い、やはりローンで買った御自慢のSUVで通勤をしていた人達はガソリン代の天井知らずの値上がりに嫌気がさし、郊外の建売住宅の人気はガタ落ちとなり住宅価格は急激に下落した。住宅価格の将来の値上がりを見越して組まれるサブプライムローンは成り立たなくなり破綻し、リーマンブラザースの破綻へと繋がる。マネーの商品相場への投資が世界金融危機を招いた。
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05 Feb 2012   06:10:05 am
原材料価格の歴史
下がり続けた原材料価格が地球温暖化を促進

 驚く事にエネルギー資源を含む原材料の価格は過去200年間下がり続けている。(図)

 価格は市場経済における最も重要な要素である事は承知だが、価格の低下が人々の省エネ・省資源に対する意識を弱めて来た事は確かである。

 図を見ると、過去の大戦の度に価格が高騰していた事が分かる。1973〜1982年と2000〜2008年にも上昇傾向が見られている。このグラフの最後は2004年で終わっているが最後の跳ね上がった尻尾に続いて2008年まで上昇トレンドが続いている。この価格上昇が見られる頃には資源枯渇の信号が発せられていた事が分かるが、全体的には下落のトレンドを見せ、あたかも資源は無限に有るかのようなメッセージを出しているかのように見える。2008年のリーマンショックは過去にないほどの市場価格の下落を招いた。

 これに対抗する策について議論をする前に、何故原材料の価格は下落するのかを政治の構造から述べてみたい。産業にとって原材料価格が低い事は好ましいことである。競争には低価格が絶対条件となる。政治家にとっては低価格は消費者にも企業家にも喜ばれる好材料である。

 この様な政治判断の典型的なものは過去のソ連に見られた。自然環境から得られるものは空気や水のように全て、もともと人民のものであるので価格など付けようが無いとした。この考え方からは省エネや省資源と言う考えは生まれない。その結果は壮大な無駄を生む巨大産業であった。巨大な資源消費の化け物の様な産業は国際競争に負けソ連経済は行き詰まった。

 もちろん、長年にわたる資源価格の下落は政治によるものだけではない。地下資源の採掘技術、地下資源発掘技術、石油精製技術の発展など技術革新も大いに寄与している。

 学者たちは地下資源の枯渇を問題にはしていたが、化石燃料を汲み上げる事による地球温暖化に警鐘を鳴らすのは躊躇し続けていた。

 その結果ぼくたちの「奇跡の惑星」には一刻の余裕もなくなってしまった。
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04 Feb 2012   09:17:12 pm
ドイツのパッシブハウス
欧州で広まるパッシブハウス

 パッシブハウスはファクターファイブの概念を実現した省エネ建築の基準で、欧州ではかなり広まっている。日本にもパッシブハウス・ジャパン( passivehouse-japan.jimdo.com )が設立されている。この基準で建てられた超省エネの住宅は、先進の技術標準で建てられた住宅の1/10のエネルギーしか消費しないファクター10を達成している。(図参照)

 パッシブハウスを設計するにはいくつかのデザインツールが必要となる。「パッシブハウス計画パッケージ(PHPP)」は設計ツールで欧州ではドイツ、オーストリア、スイスの100以上のプロジェクトで使用されており結果として70〜90%の省エネを達成している。このソフトウエアについては上記のパッシブハウス・ジャパンのホームページに詳しい。

パッシブハウスの特徴

■パッシブソーラーデザイン
外気との接触面積を最小にする設計と太陽光熱を取り入れたり遮断する事をデザインに取り入れた設計。
■超高性能断熱
パッシブ建築物は超高性能の断熱材を用いて壁、屋根、床からの熱の輻射、伝搬を断熱する。その為各所に適した断熱材を使用する。特に熱ブリッジに配慮をする。
■先端技術の断熱窓
3層あるいは2層のガラスやガス封入ペアガラスと熱ブリッジを排した構造の窓フレームで高い断熱効果を持つ窓枠メーカーがオーストリア、ドイツ、スイス、ベルギー、チェコに約50社あり高断熱窓の市場を形成している。
■壁内隙間の最小化
外断熱で外気温を遮断し壁内の隙間に冷暖房の空気流を流すパッシブハウスでは、より気密性の高い壁構造により隙間を小さくすることで流れる空気の量を減らし、空気循環モーターの電力使用量を下げることができる。
■熱回収型換気
1時間に0.4回と言う気密度高い住宅では強制換気が必要であるが、直接外気を取り込むのではなく熱交換器を当す事で外気を室内温度に近づけた後室内に取り込む。
■エアコン熱源の利用
熱交換器の他、厳寒時や猛暑時にはエアコンを使うがそのヒートポンプの熱源を温水供給にも使用することで省エネを行う。

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