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25 Feb 2012 01:52:10 pm |
製パン工場の省エネ(2) |
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中世のパン屋は環境負荷はゼロだった
昨夜遅くブログの為にパンの写真をネット上で探していたら、パンが大好きなぼくは余りにも美味しそうなパンの写真に刺激されたのか美味しいパンを食べている夢を見た。
パン焼きは中世の欧州においては村々に大きな石の窯が一か所有ってそこに石窯番人が居て決まった日の夜中から窯に薪をくべて熱する早朝の3~4時には丁度良い温度になると番人が火を取り出し窯の中を綺麗にして村人が来るのを待つ。村人はそれぞれパン生地を持ち寄って石窯に入れて焼きあがるのを待って持ちかえる。その一部をパン窯番人は駄賃として受け取り糧としていた。これがパン屋の始まりだと聞いたことが有る。
その頃の環境負荷を考えると、燃料は木材つまり再生可能エネルギーで環境負荷はゼロであった。村に一か所の窯であったのでその使用効率も大変高かった。まさに持続可能社会であった。
ファクター5に戻る。昨日書いたパン工場の省エネ化は環境負荷を下げるのみではなく労働環境も改善すると言う複合効果に目を付け、いくつかの国ではパン焼き工場の省エネをモデルケースとして取り上げる所が出て来た。
例えば1993~2003年にオーストラリア政府が行った「省エネ模範プログラム」がある。これに省エネの専門家とオーストラリアの製パン企業「ベーカー・出ライト社」が共同プロジェクト「パン屋のショーウインドー」を立ち上げた。
この研究の結果、オーブンの断熱設計、工場レイアウトと断熱設計、照明方法とデザイン、ガラスによる断熱技術などの改善により40%の省エネ=48%のGHG(地球温暖化ガス)排出量削減を達成した。但し時間の制約によりこの研究は電気オーブンにしか反映されていないが、ガスオーブンにも適用する事で同様の効果が得られるとしている。
なお、この研究は既に高度に省エネ化されていたとされる大規模製パン工場での研究であり、省エネが遅れている中小のパン屋さんに同様の改善をじっしすれば70~80%の省エネが期待される。
この結果は世界の製パン業界の環境負荷に対する意識の変化を促す事になり、カナダのストーンミル社やオーストラリアのファーガソン社は環境に負荷を与えない企業になるとの宣言をしている。
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Posted By : dantesforest |
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24 Feb 2012 11:22:07 pm |
パン工場の省エネ(1) |
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最古の歴史のパン焼きは未だに低効率
パン焼きは地球上で最も古い産業の一つであり、その歴史は新石器時代に遡る。
この長い歴史から考えて、だれもが現代のパン焼きは相当省エネされているものと思うのであるが、実際は違う。現代のパン焼き産業における水とエネルギーの消費効率は驚くほど悪い。冷蔵庫、冷凍庫、電気オーブンで使用する電力とガスオーブンで使用するガスはファクター5の対象となる。
この産業におけるエネルギーが占める製造原価の割合は僅か3%に過ぎない為に省エネには見向きもされる事は無かった。しかし、これから持続可能社会を作る上で水とエネルギーの消費効率アップが求められるようになると、対策が必要な分野である。
殆ど断熱処理が考慮されていないパン焼きオーブンが出す高温は、そこで働く従業員の労働環境を著しく悪化させている。実際多くのパン焼き工場では劣悪条件下で働いてもらう為に特別手当を払う程である。
省エネを行う事で、地球環境にも労働環境にも優しいパン焼き工場を実現できる。詳細は明日に。
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Posted By : dantesforest |
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19 Feb 2012 09:55:17 pm |
環境税の長期戦略 |
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資源とエネルギーの価格を長期的に上昇させる
だんだんと問題の核心に近づいて来たので内容が難しくなってきたが、大事なところなので我慢して読んでいただきたい。
ファクター5では持続可能社会を実現する方法として環境税の導入により長期的に原材料及びエネルギーの価格が上昇し続ける政策を提案している。
その中心的な考え方は、資源生産性とエネルギー効率の向上の度合いに従って原材料とエネルギーの価格が着実に上昇し続ける様な政治的合意を形成すると言うものである。
その価格決定方針の基準となるべき条件は次の通りである。
―管理と制御の単純性
―予測とその信頼性
―社会と経済界の受容性
政治はこれらを完全なるガラス張りの中で行って行く事が重要となる。
資源生産性の向上と省エネの達成度合いを測定し、次年度を予測し、原材料とエネルギーに課する環境税を決定する事で価格の上昇を軌道に乗せて行く必要がある。
この政策が回転し始めると、平均的な資源生産性の向上と省エネを実施している限り原材料とエネルギー価格の上昇が家計や企業の税務状況を悪化させる程のインパクトを与える事は無い。しかし、依然原材料とエネルギーの浪費を続ける人々や企業のとっては値上げはインパクトとなるであろうし、その逆に平均以上に資源生産性や省エネを進めた家庭や企業は利益が増加する事になる。
この戦略が最も経済的におおきなインパクトが働く国々は、中国、バングラデシュ、米国、日本、ドイツ、エジプト等の原材料、エネルギーを輸入に頼っている国々である。
これらの国々では、資本や知的資源を可能な限り国内に残すことを考えながら資源やエネルギー輸入に依存しない産業構造の変更をある程度考えなければならないだろう。しかし、この様な措置が必要な国の数は限られており、大多数の国では低炭素社会経済への移行は可能としている。
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Posted By : dantesforest |
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17 Feb 2012 06:03:01 am |
環境税(炭素税) |
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省エネリバウンドを防ぎ持続可能社会を築く政策
ファクター5の最終章ではエネルギーと資源の価格を上げて行く事が環境と人類の営みのバランスを取り持続可能社会を実現する方法の一つとして示されている。
さまざまな技術革新によって省エネや省資源が達成された場合、その実績に応じて環境税を課す事でエネルギーと資源の価格を上げて行くと言う方式である。それまで、ある金額で得られていた快適さや利便を省エネや省資源が達成された後も同じ金額を払い続けると言う方式である。最終消費者は従来と同じサービスを受けるのには同じ金額を払う事になる。こうしておかないと省エネや省資源で需要が下がると価格が下がり、価格が下がると次に別の消費先が作り出されてまた消費が増えると言う一番恐れるリバウンドが起きてしまう。
これにより生まれる新たな原資は、省エネや省資源を開発し、その為に努力や労務提供を行った企業や家庭に対しての報償や、リベート、補助に充てられ更ななる省エネ、省資源を推進する希望や力となるべきものである。
しかし、この方法が全ての業界に当てはまる訳ではない。例えば運輸業界や電力業界には別の方式が考慮されるべきであろうし、その他のいくつかの例外的な業種やグループの為になにがしかの原資のプールも必要になるかも知れない。
しかし、そのような例外はあくまでも期間を限られての措置であるべきで、特別権益を得られるようなグループができないような歯止めが必要である。
海外では、炭素税としてフィンランド、オランダ、スエ―デン、ノルウェ―、デンマーク、ドイツ、イタリア、イギリスで既に導入されている。
現在の民主党野田政権は消費税で精一杯で、環境税などとてもおぼつかないが、持続可能社会を目指す上で避けては通れない議論である。増税には何でも反対の政党が多いし、財界も労働界も反対が予想され我が国での成立は簡単ではない。
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Posted By : dantesforest |
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16 Feb 2012 07:05:45 am |
グリーン外食産業 |
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家庭料理が最もグリーン
レストランやファーストフードチェーン店が間接、直接に環境に与える影響は一般に考えられているよりもずーっと大きい。
カナダの団体の研究によると、一般人が家庭の以外でGHG(地球温暖化ガス)の排出をする要因のNo.1が外食であるとしている。アメリカ市民は平均的に食費の半分は外食に支出している。
外食産業が提供する料理は、一般人が同じメニューを家庭で調理して食べる場合の約15倍のエネルギー消費をしていると、この研究は報告している。
世界には800万のレストランと30万のホテルにレストランが有り、そのエネルギー消費は莫大なものとなる。
この研究はさらに世界展開している4つの代表的なファーストフードチェーンの省エネ活動を報告している。省資源、省エネルギー、グリーン購買、ゴミの低減、廃棄物のリサイクル等を行った4つのファーストフードチェーンではこの省エネの為の企業努力は、結果として財務状況を改善しており、グリーン化努力は決して財務面での負担にはならない事を証明したとしている。
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